筋骨系の疾患(整形)/うさぎ
2017年2月 5日 日曜日
ウサギの橈尺骨骨折(その1 外固定)
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介するのはウサギの前腕骨(橈尺骨)骨折です。
この橈尺骨骨折はウサギに限らず、犬でもよく遭遇する骨折です。
細く繊細なウサギの骨だけに手術の難易度は高く、また術後管理にも気を遣います。
ネザーランドドワーフのラテちゃん(雌、7か月齢、体重1.4kg)は左前足がつかないとのことで来院されました。
触診をするとどうやら骨折をされているようです。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色丸が骨折している箇所です。
橈骨・尺骨が共に折れています。
特に橈骨は生木骨折のようです。
犬であれば橈尺骨骨折は、プレートによる内固定か、骨髄ピンによるピンニングか、創外固定法を選択する場合が多いです。
ウサギは犬に比べて骨組織が脆弱でプレート固定で再骨折するケースもあります。
ラテちゃんは非常に活動的なウサギで、プレート固定には不安があります。
創外固定法にしても体が小さなウサギですから、患部に突出した創外ピンが色んな場所で引掻けたり、ぶつけたりして破壊されないか不安です。
飼い主様とも相談して、ギブスによる外固定で骨癒合まで持っていこうという方針になりました。
後肢は関節部の可動域が広く、比較的外固定に適していますが、前肢はまっすぐ下に降りていますのでギブス装着の難易度は高いと言えます。
これまでにも何度か、ご紹介させて頂きましたが外固定の副子として包帯状熱可塑性キャスト材 レナサームを使用しました。
いづれにせよ、外固定であれ骨折整復手術であれ、全身麻酔を施します。
ガス麻酔でラテちゃんを寝かせます。
骨折のため、骨折部を中心に前腕部が腫脹しています。
趾端にサージカルテープであぶみを付けます。
前腕部にストッキネットを装着します。
次にシルキーテックスをストッキネットに巻き付けます。
キャストパッドプラスを最後に巻き付けます。
骨折部をレナサーム(下写真)で外副子(スプリント)代わりに成形して装着します。
必要な長さをカットして熱湯中にレナサームを入れます。
3分でレナサームは軟化しますので、速やかに外副子を成形します。
軟化してから4分で硬化が始まります。
この外副子による固定では、ギブス固定の様に血流障害は起こりにくく、皮膚の弱いウサギには理想的です。
外固定は骨折部を挟んで2か所の関節を固定して治療が始まります。
今回の様に橈尺骨遠位端骨折の場合は、手根関節と肘関節をこのレナサームで固定します。
外固定後の患部のレントゲン写真です。
物理的な構造として、肘を少し屈曲した姿勢で、外固定をしないとそのままレナサームは脱落してしまいます。
ラテちゃんは活動的なので、この外固定をいつまで維持できるものか不安です。
伸縮包帯によるテーピングを、皮膚の血流障害を招かない程度の力で行います。
外固定で安定するのを期待していたのですが、なんと翌朝、外副子ごと前足から外れていました。
非常に残念ですが、正攻法で骨折整復にあたることに進路変更することにしました。
創外固定による橈尺骨整復手術を実施することになりました。
この創外固定手術の模様は次回のウサギの橈尺骨骨折(創外固定法)でお伝えします。
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本日ご紹介するのはウサギの前腕骨(橈尺骨)骨折です。
この橈尺骨骨折はウサギに限らず、犬でもよく遭遇する骨折です。
細く繊細なウサギの骨だけに手術の難易度は高く、また術後管理にも気を遣います。
ネザーランドドワーフのラテちゃん(雌、7か月齢、体重1.4kg)は左前足がつかないとのことで来院されました。
触診をするとどうやら骨折をされているようです。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色丸が骨折している箇所です。
橈骨・尺骨が共に折れています。
特に橈骨は生木骨折のようです。
犬であれば橈尺骨骨折は、プレートによる内固定か、骨髄ピンによるピンニングか、創外固定法を選択する場合が多いです。
ウサギは犬に比べて骨組織が脆弱でプレート固定で再骨折するケースもあります。
ラテちゃんは非常に活動的なウサギで、プレート固定には不安があります。
創外固定法にしても体が小さなウサギですから、患部に突出した創外ピンが色んな場所で引掻けたり、ぶつけたりして破壊されないか不安です。
飼い主様とも相談して、ギブスによる外固定で骨癒合まで持っていこうという方針になりました。
後肢は関節部の可動域が広く、比較的外固定に適していますが、前肢はまっすぐ下に降りていますのでギブス装着の難易度は高いと言えます。
これまでにも何度か、ご紹介させて頂きましたが外固定の副子として包帯状熱可塑性キャスト材 レナサームを使用しました。
いづれにせよ、外固定であれ骨折整復手術であれ、全身麻酔を施します。
ガス麻酔でラテちゃんを寝かせます。
骨折のため、骨折部を中心に前腕部が腫脹しています。
趾端にサージカルテープであぶみを付けます。
前腕部にストッキネットを装着します。
次にシルキーテックスをストッキネットに巻き付けます。
キャストパッドプラスを最後に巻き付けます。
骨折部をレナサーム(下写真)で外副子(スプリント)代わりに成形して装着します。
必要な長さをカットして熱湯中にレナサームを入れます。
3分でレナサームは軟化しますので、速やかに外副子を成形します。
軟化してから4分で硬化が始まります。
この外副子による固定では、ギブス固定の様に血流障害は起こりにくく、皮膚の弱いウサギには理想的です。
外固定は骨折部を挟んで2か所の関節を固定して治療が始まります。
今回の様に橈尺骨遠位端骨折の場合は、手根関節と肘関節をこのレナサームで固定します。
外固定後の患部のレントゲン写真です。
物理的な構造として、肘を少し屈曲した姿勢で、外固定をしないとそのままレナサームは脱落してしまいます。
ラテちゃんは活動的なので、この外固定をいつまで維持できるものか不安です。
伸縮包帯によるテーピングを、皮膚の血流障害を招かない程度の力で行います。
外固定で安定するのを期待していたのですが、なんと翌朝、外副子ごと前足から外れていました。
非常に残念ですが、正攻法で骨折整復にあたることに進路変更することにしました。
創外固定による橈尺骨整復手術を実施することになりました。
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2013年11月 8日 金曜日
ウサギの代謝性骨疾患(食餌にはくれぐれもご注意を!)
食餌から摂取する栄養分で体は作られています。
バランスの崩れた食餌をペットに与えることは、結果として大切なペットを病気にしてしまう事です。
以前から、食餌に含まれるカルシウムが欠乏することで起こる代謝性骨疾患についてはコメントしてきました。
この代謝性骨疾患は、犬猫では比較的少ない疾患だと思います。
それは、ドッグフードやキャットフードが完全食でそれだけ食べていれば、栄養学的に問題ないからです。
その一方で、いかにエキゾチックアニマルでは多いことか!
当院HPのサイト内検索で代謝性骨疾患を入力してみて下さい。
結局、エキゾチックアニマルには完全食なるフードが存在しないため、何種類かの食材を組み合わせる必要があり、飼主様がそれを十分認知していないがために、栄養不良による疾患が引き起こされます。
さて今回、ご紹介しますのはこの代謝性骨疾患が原因で骨折に至ったウサギの話です。
ライオンラビットのミミちゃん(8歳、雌)は前肢に力が入らないとのことで来院されました。
レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色丸の箇所をご覧ください。
両側上腕骨の中央部が斜骨折しています。
ミミちゃんは特に高い場所から飛び降りたりしていないとのことです。
レントゲン写真から骨密度が非常に低く、骨の向こう側が透けて見えるような感じです。
年齢から考慮して、代謝性骨疾患の可能性が高いと考えられました。
過去の経験から、このような骨密度の低い骨を骨髄ピンや創外固定を実施しても骨癒合を期待することは厳しいと判断しました。
ひとまず、ギブスで外固定して栄養状態を改善させてから、次の手を考えることとしました。
ガス麻酔を行う中でレナサームという熱可塑性キャスト剤でギブスを作ります。
前肢が不自由になりますが、飼主様にも頑張って頂いて介護の必要性をお伝えしました。
問題はミミちゃんが退院された8日後です。
今度は後肢が折れてしまったとのこと。
下がそのレントゲン像です。
特に右の脛骨遠位端が斜骨折で骨折端が皮膚を突き破り、解放骨折の状態です(下写真黄色丸)。
解放骨折をしてから患部は糞便などで汚染されています。
むしろこの個所については、残念ながら感染症を考えて断脚することを提案させて頂きました。
飼い主様によっては、このような場合は安楽死を希望される方もみえます。
ミミちゃんの飼主様は、このような状態でも是非、頑張って乗り越えてほしいという意見でした。
断脚手術をすることとなりました。
出血が予想される血管を縫合糸で結紮していきます。
非常に痛々しくみえるミミちゃんですが、術後の経過は良好です。
流動食を口へと注射器を用いて飲ませます。
大変、気に入ってるようで流動食をたくさん飲んでくれます。
今回の代謝性骨疾患になった理由は、まだ小さい頃からミミちゃんは食餌の好き嫌いが激しかったそうです。
チモシーやペレットは拒否し、えん麦(エンバク)から成る嗜好品(おやつ)は喜んで食べるので、食べてくれるのならと飼主様もえん麦をずっと給餌していたそうです。
この点が代謝性骨疾患を引き起こした原因のようです。
ミミちゃんは無事退院されたのち、流動食を給餌する時に誤嚥され、それがもとで呼吸不全に陥り、逝去されました。
非常に残念な結果でしたが、小さい頃からの食生活が大人になった体を作っていることを忘れないでください。
生命を維持するために必要な栄養は必ず与える努力を忘れないでください。
取り敢えず、食べるからといって嗜好品に走ると栄養不良性疾患に至ります。
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いつもの応援クリック、ありがとうございます!
バランスの崩れた食餌をペットに与えることは、結果として大切なペットを病気にしてしまう事です。
以前から、食餌に含まれるカルシウムが欠乏することで起こる代謝性骨疾患についてはコメントしてきました。
この代謝性骨疾患は、犬猫では比較的少ない疾患だと思います。
それは、ドッグフードやキャットフードが完全食でそれだけ食べていれば、栄養学的に問題ないからです。
その一方で、いかにエキゾチックアニマルでは多いことか!
当院HPのサイト内検索で代謝性骨疾患を入力してみて下さい。
結局、エキゾチックアニマルには完全食なるフードが存在しないため、何種類かの食材を組み合わせる必要があり、飼主様がそれを十分認知していないがために、栄養不良による疾患が引き起こされます。
さて今回、ご紹介しますのはこの代謝性骨疾患が原因で骨折に至ったウサギの話です。
ライオンラビットのミミちゃん(8歳、雌)は前肢に力が入らないとのことで来院されました。
レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色丸の箇所をご覧ください。
両側上腕骨の中央部が斜骨折しています。
ミミちゃんは特に高い場所から飛び降りたりしていないとのことです。
レントゲン写真から骨密度が非常に低く、骨の向こう側が透けて見えるような感じです。
年齢から考慮して、代謝性骨疾患の可能性が高いと考えられました。
過去の経験から、このような骨密度の低い骨を骨髄ピンや創外固定を実施しても骨癒合を期待することは厳しいと判断しました。
ひとまず、ギブスで外固定して栄養状態を改善させてから、次の手を考えることとしました。
ガス麻酔を行う中でレナサームという熱可塑性キャスト剤でギブスを作ります。
前肢が不自由になりますが、飼主様にも頑張って頂いて介護の必要性をお伝えしました。
問題はミミちゃんが退院された8日後です。
今度は後肢が折れてしまったとのこと。
下がそのレントゲン像です。
特に右の脛骨遠位端が斜骨折で骨折端が皮膚を突き破り、解放骨折の状態です(下写真黄色丸)。
解放骨折をしてから患部は糞便などで汚染されています。
むしろこの個所については、残念ながら感染症を考えて断脚することを提案させて頂きました。
飼い主様によっては、このような場合は安楽死を希望される方もみえます。
ミミちゃんの飼主様は、このような状態でも是非、頑張って乗り越えてほしいという意見でした。
断脚手術をすることとなりました。
出血が予想される血管を縫合糸で結紮していきます。
非常に痛々しくみえるミミちゃんですが、術後の経過は良好です。
流動食を口へと注射器を用いて飲ませます。
大変、気に入ってるようで流動食をたくさん飲んでくれます。
今回の代謝性骨疾患になった理由は、まだ小さい頃からミミちゃんは食餌の好き嫌いが激しかったそうです。
チモシーやペレットは拒否し、えん麦(エンバク)から成る嗜好品(おやつ)は喜んで食べるので、食べてくれるのならと飼主様もえん麦をずっと給餌していたそうです。
この点が代謝性骨疾患を引き起こした原因のようです。
ミミちゃんは無事退院されたのち、流動食を給餌する時に誤嚥され、それがもとで呼吸不全に陥り、逝去されました。
非常に残念な結果でしたが、小さい頃からの食生活が大人になった体を作っていることを忘れないでください。
生命を維持するために必要な栄養は必ず与える努力を忘れないでください。
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2013年10月 8日 火曜日
ウサギの脊椎損傷
ウサギの脊椎損傷は、犬猫同様に後躯不全麻痺に始まり、排尿排便障害を呈します。
損傷の程度によっては呼吸不全を起こしたり、疼痛のストレスで突然死に至る場合もあります。
脊椎骨折や脱臼があれば、脊柱の外科的固定が必要となりますが、脊椎骨の脆弱さにより手技的に困難をきわめます。
飼い主様の介護が必要であり、予後不良となることが多いです。
今回ご紹介させて頂きますのは、ネザーランド・ドワーフのロビー君(2か月齢、雄、体重450g)です。
1.5mほどの高さから落下してしまい、後肢が立てないとのことで来院されました。
後肢は痛覚浅部・深部ともになく、前肢で匍匐(ほふく)前進をしてます。
下痢便を不随意に流しており、排尿はしていません。
触診では、後肢の骨折、脱臼はないようですが、脊椎損傷の疑いが強いです。
患部を拡大します。
黄色丸の脊椎骨が若干ずれています。
落下の時の衝撃が脊椎骨に達し、瞬間的な脊椎骨の変位や脊髄神経の過剰な伸展があって、後躯麻痺に至ったと思われます。
後躯麻痺の場合、陰部が排便排尿で汚れますので微温湯で清潔に洗浄する必要があります。
姿勢も褥瘡を防ぐために、低反発の床材マットを敷いたりする必要もあります。
自発的に食餌が取れなければ、強制給餌をします。
飼い主様にこのような介護の負担も生じます。
栄養状態を維持できれば、後躯麻痺でも長期生存は可能です。
ロビー君はまだ2か月齢という若さでの後躯麻痺です。
不慮の事故ということで、飼主様のご心配も察します。
現在は内科的にステロイドの投薬と腸蠕動促進薬を投薬して経過観察です。
ロビー君、立てるように頑張っていきましょう!
スタッフ共々応援していきたいと思います。
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2013年2月19日 火曜日
ウサギの腰椎骨折
ウサギは骨が脆く骨折をしやすいことは、皆様ご存知と思います。
我々もウサギの診察は診察台の上ですることはなく、椅子に助手を腰かけさせ、仰向けで保定した状態で診察させて頂いてます。
ウサギはちょっとした物音にも反応して、強力な後ろ足でキックします。
その時に脊椎骨に障害(脱臼、骨折等)が及びますと肢の麻痺、排便・排尿障害などが起こります。
本日、ご紹介しますのはミニウサギのジュニア君です。
飼い主様が気づかれた時には、すでにジュニア君は後肢が麻痺を起こしており、起立不能状態に陥っていました。
起立不能の原因を探るためにレントゲン撮影を実施しました。
さらに腰椎を拡大したのが下写真ですが、黄色丸で示した腰椎に亀裂が入っています。
第5腰椎が亀裂骨折を起こしています。
加えて、ジュニア君の膀胱は多量の尿が貯留していますので、排尿障害の心配もあります。
後肢の痛覚はなく、現時点では前肢による匍匐前進しかできません。
脊椎骨の骨折の場合、犬猫であればプレート、骨スクリュー等による固定も可能ですが、ウサギの場合は骨が柔らかく脆いため確実な固定は望めません。
したがって、内科的療法でリハビリを含めた介護が必要となってきます。
飼い主様がジュニア君のことを愛され、大事にされてます。
ジュニア君は麻痺している後肢が気になるらしく、齧って皮膚が裂けてしまい、その治療も必要です。
排便・排尿も自身で確実にコントロールはできませんので、紙おむつをしています。
内科的治療にジュニア君が少しでも反応してくれて、後肢の麻痺が改善することを祈念してます。
全国的に見ても、脊椎損傷で後躯麻痺で介護生活をおくるウサギ達は多いです。
飼い主様の治療への情熱によるところが大きいです。
我々、病院のスタッフもジュニア君の回復を応援していきます。
我々もウサギの診察は診察台の上ですることはなく、椅子に助手を腰かけさせ、仰向けで保定した状態で診察させて頂いてます。
ウサギはちょっとした物音にも反応して、強力な後ろ足でキックします。
その時に脊椎骨に障害(脱臼、骨折等)が及びますと肢の麻痺、排便・排尿障害などが起こります。
本日、ご紹介しますのはミニウサギのジュニア君です。
飼い主様が気づかれた時には、すでにジュニア君は後肢が麻痺を起こしており、起立不能状態に陥っていました。
起立不能の原因を探るためにレントゲン撮影を実施しました。
さらに腰椎を拡大したのが下写真ですが、黄色丸で示した腰椎に亀裂が入っています。
第5腰椎が亀裂骨折を起こしています。
加えて、ジュニア君の膀胱は多量の尿が貯留していますので、排尿障害の心配もあります。
後肢の痛覚はなく、現時点では前肢による匍匐前進しかできません。
脊椎骨の骨折の場合、犬猫であればプレート、骨スクリュー等による固定も可能ですが、ウサギの場合は骨が柔らかく脆いため確実な固定は望めません。
したがって、内科的療法でリハビリを含めた介護が必要となってきます。
飼い主様がジュニア君のことを愛され、大事にされてます。
ジュニア君は麻痺している後肢が気になるらしく、齧って皮膚が裂けてしまい、その治療も必要です。
排便・排尿も自身で確実にコントロールはできませんので、紙おむつをしています。
内科的治療にジュニア君が少しでも反応してくれて、後肢の麻痺が改善することを祈念してます。
全国的に見ても、脊椎損傷で後躯麻痺で介護生活をおくるウサギ達は多いです。
飼い主様の治療への情熱によるところが大きいです。
我々、病院のスタッフもジュニア君の回復を応援していきます。
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2012年12月30日 日曜日
ウサギの肘頭骨折
ウサギは骨が脆く、その一方で筋力が強い。
非常に憶病な性格のため、ちょっとした物音にも驚いて暴れることがあります。
その結果、思いもよらない骨折に遭遇することがあります。
今回ご紹介するのは、ホーランドロップのラッフル君です。
激しいジャンプをした後、左前肢がぶらぶらしていることに飼主様が気づかれ、来院となりました。
レントゲン撮影をしました。
黄色丸で示した肘頭の部分が骨折しています。
この肘頭の骨折は上腕三頭筋の強力な牽引力で骨片が離断するため、犬ではテンションバンドワイヤーを使用して内固定を実施することが多いです。
しかしながら、ウサギとなると骨密度の薄さからワイヤーで固定しても結局、肘頭部に亀裂が生じて、失敗に終わる経験が過去にあります。
確実な肘の曲げ伸ばしが復元されるかは難しい所ですが、ギブスによる外固定で時間をかけ治療をしていく方針を決めました。
全身麻酔をかけ、レナサームという熱湯で変形・加工できる熱可塑性キャスト剤を使用します。
骨折している肘頭部を囲い込むようにしてレナサームを何枚も組み合わせて患部に巻き付けます。
巻きつけて5分もするとレナサームは硬化し始めます。
確実に硬化したのを確認して、外固定を終了します。
麻酔から覚醒して、ラッフル君は処置前には拳上していた前肢をある程度、着くことが出来るようになりました。
ギプス固定は固めた後に微調整が必要となります。
血行を阻害していないか、関節部に圧迫を加えていないか等など、翌日チェックします。
ラッフル君は1か月以上この厄介なギプスを前肢に巻いて暮らすこととなります。
早く、骨折部に仮骨が形成され、肘の動きが円滑にできるのを期待します。
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非常に憶病な性格のため、ちょっとした物音にも驚いて暴れることがあります。
その結果、思いもよらない骨折に遭遇することがあります。
今回ご紹介するのは、ホーランドロップのラッフル君です。
激しいジャンプをした後、左前肢がぶらぶらしていることに飼主様が気づかれ、来院となりました。
レントゲン撮影をしました。
黄色丸で示した肘頭の部分が骨折しています。
この肘頭の骨折は上腕三頭筋の強力な牽引力で骨片が離断するため、犬ではテンションバンドワイヤーを使用して内固定を実施することが多いです。
しかしながら、ウサギとなると骨密度の薄さからワイヤーで固定しても結局、肘頭部に亀裂が生じて、失敗に終わる経験が過去にあります。
確実な肘の曲げ伸ばしが復元されるかは難しい所ですが、ギブスによる外固定で時間をかけ治療をしていく方針を決めました。
全身麻酔をかけ、レナサームという熱湯で変形・加工できる熱可塑性キャスト剤を使用します。
骨折している肘頭部を囲い込むようにしてレナサームを何枚も組み合わせて患部に巻き付けます。
巻きつけて5分もするとレナサームは硬化し始めます。
確実に硬化したのを確認して、外固定を終了します。
麻酔から覚醒して、ラッフル君は処置前には拳上していた前肢をある程度、着くことが出来るようになりました。
ギプス固定は固めた後に微調整が必要となります。
血行を阻害していないか、関節部に圧迫を加えていないか等など、翌日チェックします。
ラッフル君は1か月以上この厄介なギプスを前肢に巻いて暮らすこととなります。
早く、骨折部に仮骨が形成され、肘の動きが円滑にできるのを期待します。
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