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皮膚の疾患/うさぎ

2012年4月14日 土曜日

ウサギのツメダニ感染症

ツメダニ(Cheyletiella spp. ) の寄生性皮膚疾患をご紹介します。

このツメダニはウサギのみならず、犬猫にも寄生します。

特にツメダニは表皮の角質層に寄生し、ライフサイクルは35日間です。

約1か月強で次世代に交代します。

このツメダニ感染症は症状として、背部・肩甲骨間・尾根部に寄生し、白く大きな鱗屑を認めます。

次いで、脱毛が起きます。

この段階で非常に痒みを感じる個体も多いです。

場合によっては、ヒトにも感染は起こります。人畜共通感染症とされています。




今回のツメダニ感染患者はロップイヤーのサスケ君です。

背中の鱗屑がひどいとのことで来院されました。

下の写真にあるように背部の脱毛と鱗屑が認められます。

赤丸の部分・赤の矢印に集中して鱗屑・脱毛があります。







加えて、飼主様もサスケ君と接触した腕に強い痒みを感じると申告されています。

患部に密着したセロハンテープをスライドガラスに張り付け、顕微鏡で検査しました。




多くのツメダニが被毛の中から検出されました。





上の写真はツメダニの卵です。




顎の部分を拡大しますと下の写真のようになります。

この顎で食い付かれるとさぞかし痛いでしょうね。



治療法としては、イベルメクチンやセラメクチンの投薬できれいにツメダニを駆除出来ます。

健康で正常なグルーミングができる個体は、ツメダニの感染があっても、無症状であることが多いとされています。

ツメダニは宿主から離れても10日間は生存するとされています。

そのため、ケージ内の敷料は紙製に変えて、毎日廃棄できるようにし、ケージ内の掃除を徹底することが大事です。




ツメダニが気持ち悪いと思った方は、こちらを



upwardright  クリックして下さいね!







投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2011年11月19日 土曜日

ウサギの乳腺腫瘍・ハエウジ症

ウサギの乳腺疾患は子宮疾患と比較して、決して多いとはいえませんが乳腺にできる腫瘍は乳腺癌である確率が高く、また転移も早く摘出後の再発も多いとされる、やっかいな疾患です。

ウサギも犬猫同様、若いうちに避妊手術を受けた個体は乳腺腫瘍の発症率は極めて低いとされています。
国内で有名なウサギの専門病院の院長いわく、3歳未満で避妊手術をうけれた個体で乳腺腫瘍になったウサギはないそうです。

ウサギの乳腺腫瘍は良性・悪性に限らず、疼痛を伴うことは少なく、むしろ患部が自壊して気にして舐めることで細菌感染を併発し悪化していきます。

下の写真は乳腺腫瘍になった4歳のウサギです。加えてハエウジ症(後で説明します。)にもなっています。






左側胸部乳腺・腹部乳腺・鼠径部乳腺に乳腺腫瘍ができています。
特に腹部乳腺腫瘍は自壊して皮膚が裂けた状態になっています(下写真参照)。
この場合は患部に熱感を伴っており著しい浮腫も出ています。
肺に腫瘍が転移している可能性もあります(まだ未確認)。
外科的に乳腺腫瘍および子宮卵巣を摘出するのがベストですが、全身状態が衰弱している個体ではリスクが高くケースバイケースです。






次にハエウジ症ですが、ウサギは基本的に自身の外陰部は舐めていつもきれいにしますが、諸般の事情で舐められない環境に置かれますと、肛門から外陰部にかけて糞便尿で汚染されます。
ハエが汚染された箇所に卵を産みつけウジが湧くと患部をかじり、場合によっては筋肉層にまで進出します。
ハエウジ症になりますと予後不良の傾向が強いと思います。
一匹ずつウジをつまみだし、患部を洗浄・治療します。
下写真はハエウジ症の患部です。
あまり気色のいいものではないと思いますが、ハエウジ症になるとどんなに悲惨かご理解いただく意味を込めて載せます。
悪しからず。




次に胸部乳腺腫の外科手術例を載せます。
このウサギも4歳です。
未避妊ウサギです。
ウサギは基本的に抱かれるのを嫌いますので、乳腺腫瘍を見逃すことが多いです。
できれば、日常的に触ってしこりがないか確認すると良いでしょう。

投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2011年9月 4日 日曜日

ウサギの膿瘍

今回はウサギの膿瘍、特に歯にまつわる膿瘍(歯周病起因のタイプ)をご紹介します。

ウサギの切歯・臼歯の過長症で説明したように、彼らの常生歯という特徴から咬み合わせの悪さから歯根部に細菌感染が及んで上顎や下顎が腫れあがるほどの膿瘍ができます。

ウサギの場合、犬猫の膿瘍と異なるのはチーズ様の粘性の高い膿の発生により完全排出が困難であることです。
加えて顎骨の変形・融解を伴うため完治させることが不可能です。
そのために飼い主様への患部処置法や食事管理等の指導がかかせません。

根本的治療は原因となる患歯の抜歯となります。
ウサギは犬猫に比べ骨密度が半分以下であり、膿瘍による顎骨の変形・融解が生じてい舞うので重度の膿瘍でない限りは当院では抜歯は行っていません。
したがって、治療の中心は膿瘍の治療となります。
患部の場所、膿瘍の程度、顎部の変形・融解などに応じた個々の処置法を当院では実施しています。

下の写真は膿瘍が下顎に出来たウサギです。




下の写真は別のウサギです。下顎を切開して排膿して洗浄液で洗っているところです。




さらに別件のウサギですが、皮下膿瘍を切開して患部を開放創にしてこの創内に洗浄・消毒管理を実施している写真です。
術後、最低でも数週間の抗生剤の投与が必要です。




次は下顎の膿瘍が破裂してしまったウサギです。
破裂した嚢包を縫合して、排膿のためにドレインチューブを留置しました。
ドレインチューブ内に洗浄消毒液・ニューキノロン系の抗生剤・アイプクリーム等を投与して治療を行いました。
これらの治療で二週間後には一旦、完治したかにみえましたが、数カ月後に同じ場所に膿瘍が再発しました。




何度も繰り返して申し上げますが、このウサギの歯科疾患由来の皮下膿瘍は完治させることが非常に難しいです。
各種治療法は提案されていますが、確立した治療法はありません。
我々としては、ウサギの歯のメンテナンスの必要性(歯科検診)や正しいウサギの食餌の重要性、歯にまつわる正しい知識を飼い主様に伝える努力をしていきたいと思っています。

投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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