ウサギの飼い方・健康管理の紹介
HPをご覧のみなさまへ
全国から電話でのお問い合わせがありますが、当院では「電話・FAX」での「飼育相談・診療相談(遠隔治療)」は行っておりません。
※診察対象のお問合せ、初診での受付内容(受付時間・持込方法など)、獣医師の不在確認、手術の予約、他の病院からの紹介状による相談は、診察時間内にお願いいたします。
分類学
ウサギ(兎、兔)はウサギ目に属する草食哺乳類の総称。
ウサギ目Lagomorphaは,ナキウサギ科Ochotonidaeとウサギ科Leporidaeの2つの科(family)から構成されます。
品種(breed)は100種以上におよび、大きく2つの科に分けられます。
長い耳を持ち、こんもりとした尻尾を持つウサギ科と、耳が短く尻尾がほとんどないナキウサギ科です。
私たちがペットショップで見られる全てのウサギは、このアナウサギ属の中のアナウサギという種 1種から品種改良されてきたウサギが主です。
特徴
ウサギとは皆様ご存知のように毛がとてもふわふわしていて、耳が長く見た目が可愛らしく幅広い年齢層に好かれる動物です。
うさぎは本来「夜行性の動物」ですが、飼い主の生活パターンにあわせて生活のリズムを変化させることも可能です。
草食動物のため、主に牧草を主食とし、歯は伸び続ける動物です。
寒い場所や暑い季節を苦手としているため、15~26℃程度の温度環境を好みます。
臆病で怖がりやなため、小さな物音に驚いたりとても警戒心が強いですが、感情が豊かで、行動や表情で感情を表し人ともコミュニケーションをとることができる動物です。
ウサギの体重は1kgから10kgと品種によってかなり大きさは異なります。
寿命は8年から10年ほど、うさぎの1歳=人間で言うと20歳頃に値する為、成熟期までがあっという間です。
うさぎは犬や猫とは違い、1年中発情期のある動物です。
ウサギは1か月に数回、1日程度の発情休止以外は「年中発情状態」が続きます。
ペットとして販売されているウサギは、生後4ヶ月から半年で子供を産めるようになります。
※望まない妊娠や予後を考慮して避妊・去勢手術することも当院は可能です。
出生時体重 | 30~50g(中型) |
体温 | 38.5~40.0℃ |
平均寿命 | 8~10才 |
発情周期 | 年中 |
食餌消費量 | 50g/kg/日 |
飲水量 | 50~100ml/kg/日 |
[ ウサギの年齢比較表 ]
ウサギの年齢 | 人の年齢 |
1ヶ月 | 2歳 |
6ヶ月 | 13歳 |
1年 | 20歳 |
3年 | 34歳 |
5年 | 46歳 |
8年 | 64歳 |
10年 | 76歳 |
14年 | 98歳 |
一般的な飼育環境
ウサギは本来、社会性動物であり社会的上下関係を確認しあい、コミュニティーを形成します。
その為には個々のテリトリーが確認できるような十分な広さが必要です。
また、温度変化に弱い為、ストーブやエアコンの近くに置くこともいけません。
隙間風に弱い為、窓のそばやドアの近くに置くのは禁物です。
テレビや音楽機器のすぐそばというのも避けてください。敏感な耳を持っているので、ストレスとなり体調を崩しやすいと言われていますので、ケージの設置場所にも注意してください。
飼育ケージ
ウサギ用ケージが市販されています。
大きさは45×60cmほどのサイズが一般的です。
(新聞紙1ページ程度)
ケージ環境
●床材
メッシュ状の金網や硬いフローリングは足底潰瘍の原因になる為、柔らかい木やプラスチック等のスノコタイプの物が理想です。
●エサ入れ、水入れ、牧草入れ
食器は不安定だとすぐにひっくり返されてしまう為、重い素材の器を用意した方が良いです。
ウサギは器からでも給水ボトルからでも水を飲むことが出来ますが、給水ボトルを使った方がケージ内が濡れなくて良いです。(給水ボトルで上手に飲めない子もいるので、水の飲みが悪い時は変えてあげましょう。)
エサ入れは、陶器・プラスチック・木など素材の種類も豊富なのでその子の性格に合わせて選んであげましょう。
●トイレ
ウサギ用のトイレが市販されています。
トイレ砂とペットシーツを併用して使っている方が多いようです。
ペットシーツを間違って食べてしまわないようにネットなどのふたを兼用すると良いです。
ウサギは一箇所に場所を決めて排尿、排便をする習慣がある為トイレを覚えてくれます。
自分の住処には匂いを残さないきれい好きでもあるので、しつけに苦労しない個体が多いです。
●かじり木
ストレスを少なくする為にケージ内にかじり木を入れてあげましょう。
また、切歯の過長の予防にもなります。
幼いころからいろいろな硬さ種類のかじり木を与えて習慣づけてあげましょう。
●その他
『潜る・隠れる・登る』ことが大好きな動物です。
かじっても安全な木製のキューブハウスやチモシー素材のハウスを入れてあげるのも良いでしょう。
成長期(~1才まで)は、体の使い方がまだ上手ではないので、思わぬ所で怪我をしたりします。
この時期はケージ内のレイアウトは、シンプルに安全に作ってあげてください。
食事について
一般の草食動物に比べてウサギは栄養価の低い草や木の葉を食べる傾向が強いです。
これはアナウサギが高栄養な食物が存在しない地域に生息していたためと言われています。
ウサギが健康で快適な生活を送る為には、適切な繊維の摂取が重要です。
繊維質はウサギの腸内環境を正常に保つことに役立ちます。
繊維は、1日あたり一定量のペレット(ラビットフード)を与えるとともに、牧草(チモシー)をウサギに自由採取させてください。
常時与え、十分に採らせる給餌法が理想です。
※食物にこだわりの強い慎重な動物の為、子ウサギの頃からの食習慣が重要になります。
●乾草(チモシー)
ウサギには低たんぱく質・高繊維・低カルシウムの観点から、イネ科の牧草(チモシー等)が良いとされています。
年齢や健康状態によって選択しますが、茎の長いチモシー(一番刈り)の給与を奨めています。
アルファルファなどのマメ科乾草はウサギもこれを好むが、タンパク質・カルシウムの含量が高く、成長後のウサギには肥満や尿石症の恐れがあるので制限する必要があります。
●ペレット(ラビットフード)
ハードタイプとソフトタイプとあり大きさや形にもバリエーションがあります。
ハードタイプは歯の形状に合わせて選んで与えてください。
ミックスペレット(シリアルやマメ類)が混合された製品が販売されていますが、好みの粒ばかりを選んで食べる傾向にあり、栄養バランスが偏る為、シンプルな物を与えた方が良いです。
ウサギにとってペレットが食事の全てではありません。
ペレットの方が好きだから…とあげすぎは禁物です。
肥満の原因となるためしっかりと1回量を測定して与えるようにしてください。
健康管理及び・治療の紹介
当院では、ウサギの健康診断として、
・不正咬合を確認する為の「歯の検診」
・腸の蠕動を確認する為の「聴診」
を主に行っています。
当院で治療件数が多い症状・疾患は、
・切歯過長症
・臼歯過長症
・毛球症
・スナッフル
・精巣腫瘍
・子宮腺癌
です。
※詳しくは「症例と治療例の一覧」をご覧ください。