フェレットの飼い方・
健康管理の紹介
HPをご覧のみなさまへ
全国から電話でのお問い合わせがありますが、当院では「電話・FAX」での「飼育相談・診療相談(遠隔治療)」は行っておりません。
※診察対象のお問合せ、初診での受付内容(受付時間・持込方法など)、獣医師の不在確認、手術の予約、他の病院からの紹介状による相談は、診察時間内にお願いいたします。
分類学
食肉目 イタチ科 プトリウス属 フロ種です。
イタチの一種である、ヨーロッパケナガイタチもしくは、ステップケナガイタチから家畜化されたものです。
特徴
フェレットは好奇心旺盛で人に慣れやすい動物です。
幼体では興味あるものは噛んで確認する習性がある為、異物誤飲には注意する必要性があります。
本来は夜行性ですが、飼育下においては昼夜関係ない行動で、1日の大半を寝て過ごします(約18時間)。
起きている際は活発に動きます。
また、狩猟本能として獲物を追って狭いところに潜り込む事を得意とする為、トンネルや筒など狭いところを好みます。
なおフェレットは、独特の麝香(じゃこう)臭を発します。
肛門付近のアポクリン腺、身体全体に分布する皮脂腺が体臭の元です。
危険や興奮した時には、肛門腺から黄褐色した貯留物が放たれ強烈な臭気を放ちます。
現在販売されているフェレットは、ファームにおいて体臭を防ぐ為の「肛門腺摘出手術」が施され、エストロゲン中毒を予防するための「性腺摘出手術」も施されています。
また、初回にジステンパー予防予防接種を受けているのが一般的です。
● 当院では「ジステンパー予防接種」は「初回は 1年に2回(1か月間隔を空ける)」その後「1年に1回」の接種を推奨しています。
体長は成体でオス約40cm、メス約35cm。
体重は、
オス 1.0~2.0kg
メス 0.5~1.0kg
指の数は前後5本。
爪は鋭い爪をしており、出たままです。
寿命は 7 ~ 8年ほどです。
繁殖特性
フェレットは発情期を迎えると、オスは陰嚢に睾丸が降りて、メスは外陰部がドーナツ型に膨張しピンク色になります。
また、長日環境で繁殖する季節繁殖の為、北半球ではオスが12~7月、メスは3~8月に発情を迎え、南半球ではその逆になります。
繁殖期は年に2回です。
体重は、30~40%増加することもあります。
出生時体重 | 6〜12g |
平均寿命 | 7~8才 |
発情周期 | 3月~8月 |
食餌消費量 | 50~70g/頭/日 |
飲水量 | 75~100ml/kg/日 |
[ フェレットの年齢比較表 ]
フェレットの年齢 | 人の年齢 |
1ヶ月 | 1歳 |
3ヶ月 | 5歳 |
6ヶ月 | 9歳 |
1年 | 17歳 |
2年 | 28歳 |
3年 | 36歳 |
4年 | 44歳 |
5年 | 52歳 |
6年 | 60歳 |
8年 | 76歳 |
9年 | 84歳 |
10年 | 92歳 |
一般的な飼育環境
寒さには強く暑さには弱い為、温度は 15~24℃、湿度は 40~60%が望ましいです。
季節型繁殖動物ではありますが、照明は12時間の明暗条件で飼育が理想です。
光周期は内分泌軸に変調を与える要因で、副腎疾患や季節性脱毛の原因といわれています。
室温と合わせて、照明の管理も必要となります。
飼育ケージ
一般的には、トイレ・ハンモック をゆったり置ける長ケージを使用します。
脱走しないように網の幅が狭いケージが良いです。
ケージ環境
●床材
特に必要はないですが、ペットシーツ等を敷くと誤飲の恐れもある為、控えた方が良いです。
●エサ入れ、水入れ
食器は不安定だとすぐにひっくり返されてしまう為、重い素材の器を用意した方が良いです。
フェレットは給水ボトルからでも水を飲むことが出来ます。
給水ボトルを使う方がケージ内が濡れなくて良いです。
(給水ボトルで上手に飲めない子もいるので、水の飲みが悪い時は食器に変えてあげましょう。)
●トイレ
フェレット用のトイレパンが市販されています。
犬や猫用のペーパータイプの砂を使用すると清掃しやすいです。(フェレット用の砂も市販されています)
●寝床
睡眠や休憩をとる為に、サイズに合わせたハンモックや寝袋を用意してあげましょう。
●その他
温度計、室温計。
爪きり。
おもちゃは安全なものを与えてあげてください。
破片や切れ端を飲み込まないように注意してあげてください。
食事について
肉食動物であるフェレットのエサは動物性原料が理想で、主にタンパク質(35%以上)と脂肪(20~30%)から栄養を得ています。
犬や猫と比較して、短く単純な消化管を持ち、消化時間も短いことから、消化の良いフードが必要になります。
ドッグフードやキャットフードでは理想的とは言えないので、フェレット用のフードを与えます。
現在は成長期・健康維持期・高齢期といったフードがありますので、ライフステージに合わせて用意しましょう。
水分の多い柔らかいエサは歯石がつきやすくなるため、ドライフードを与えると良いです。
一度に満腹になるまで採食するというよりは、少量ずつ何度も食べる習性があり、ペレットを少量ずつ頻回に与えるか、水とともに自由に常時採取できる状態にすると良いです。
野菜や果物は必要としません。
高繊維質のものを与えると、消化不良となり、下痢の原因になります。
健康管理及び・治療の紹介
当院では、フェレットの健康診断として、
・副腎腫瘍の症状、体のしこり不自然な脱毛をチェックの為の「触診」
・ダニやミミダニの感染チェックの為の「皮膚検査」
を主に行っています。
当院で治療件数が多い症状・疾患は
・副腎腫瘍
・リンパ腫
・尿石症
・ミミヒゼンダニ症
・インスリノーマ
です。
※詳しくは「症例と治療例の一覧」をご覧ください。