ウ―パールーパー・カエルの疾病
ベルツノガエルの肺損傷
個人的に両生類が好きです。
特に中でもベルツノガエルは大好きです。
本日ご紹介しますのはベルツノガエルの おけろちゃん(3歳) です。
1年半前に高所からジャンプして右肋骨を骨折し、その後回復したものの、最近食欲不振で呼吸も辛そうです。
斜めに体を右下にして、バランスをとるのが大変だということです。
下写真のように体を傾けてバランスを取ろうとしているのがお分かりでしょうか?
一度レントゲン撮影をさせていただくこととしました。
このレントゲン像から左肺の大きさは正常ですが、右肺は半分くらいの容量に減少しています。
またよくよく見ると、黄矢印の箇所(第3肋骨の付け根)が若干、ずれています。
恐らく1年半前に右肋骨を骨折し、折れた肋骨が右肺を穿孔して肺損傷を起こしたようです。
ただ折れた肋骨にしても、完全に折れたのではなく、脊椎との接合部の亀裂骨折で肋骨の遠位端が若干ずれている感じです。
下写真の黄色丸の箇所は骨折部に仮骨が形成され、骨融合したように見えます。
本来、カエルの両側の肺に挟まれる丁度、体の正中部(ど真ん中)に主要な消化器が位置しているものなんですが、右肺が肋骨で損傷を受け、一時期であれ無気肺の状態があったかもしれませんね。
右肺が委縮すれば、胃や腸が肺に抑え込まれなくなり、右腹側に消化器は移動しますから、当然右に体の重心も移動します。
結果として、体の右側が沈み左側が浮かぶという現象が生じたと考えられます。
さらに赤土をおけろちゃんは食べる癖があるようで、砂利が胃の中に認められます。
腸蠕動亢進薬と抗生剤、鎮痛剤を処方して経過を見ることとしました。
水中を生活圏とするとおけろちゃんはそのまま浮かんでしまうでしょうが、上写真の様に水苔の上でならば多少のバランスを崩しても大きな障害にはならないでしょう。
特に中でもベルツノガエルは大好きです。
本日ご紹介しますのはベルツノガエルの おけろちゃん(3歳) です。
1年半前に高所からジャンプして右肋骨を骨折し、その後回復したものの、最近食欲不振で呼吸も辛そうです。
斜めに体を右下にして、バランスをとるのが大変だということです。
下写真のように体を傾けてバランスを取ろうとしているのがお分かりでしょうか?
一度レントゲン撮影をさせていただくこととしました。
このレントゲン像から左肺の大きさは正常ですが、右肺は半分くらいの容量に減少しています。
またよくよく見ると、黄矢印の箇所(第3肋骨の付け根)が若干、ずれています。
恐らく1年半前に右肋骨を骨折し、折れた肋骨が右肺を穿孔して肺損傷を起こしたようです。
ただ折れた肋骨にしても、完全に折れたのではなく、脊椎との接合部の亀裂骨折で肋骨の遠位端が若干ずれている感じです。
下写真の黄色丸の箇所は骨折部に仮骨が形成され、骨融合したように見えます。
本来、カエルの両側の肺に挟まれる丁度、体の正中部(ど真ん中)に主要な消化器が位置しているものなんですが、右肺が肋骨で損傷を受け、一時期であれ無気肺の状態があったかもしれませんね。
右肺が委縮すれば、胃や腸が肺に抑え込まれなくなり、右腹側に消化器は移動しますから、当然右に体の重心も移動します。
結果として、体の右側が沈み左側が浮かぶという現象が生じたと考えられます。
さらに赤土をおけろちゃんは食べる癖があるようで、砂利が胃の中に認められます。
腸蠕動亢進薬と抗生剤、鎮痛剤を処方して経過を見ることとしました。
水中を生活圏とするとおけろちゃんはそのまま浮かんでしまうでしょうが、上写真の様に水苔の上でならば多少のバランスを崩しても大きな障害にはならないでしょう。
にほんブログ村ランキングにエントリーしています。
宜しかったら、こちらをクリックしていただけると嬉しいです。
投稿者 院長 | 記事URL
ウーパールーパーの浮遊病(その2)
以前、ウーパールーパーの浮遊病についてコメントさせて頂きました。
今回ご紹介させて頂きますのは、重度の浮遊病のウーパー君です。
すでに来院された時点で、このように水面から大きく身体が浮かび上がっていました。
3日前からこの状態が改善されないとのことですが、かなり厳しい状況です。
ウーパー君はすでに虫の息です。
ゆっくり検査している場合ではなく、消化管に貯留したガスが原因で水中に潜ることが出来ず、浮上しています。
食餌も満足に摂ることが出来ません。
齧歯類でいうところの鼓張症にあたると思って下さい。
緊急処置として、消化管内のガス抜きをしました。
注射器を用いてガスを吸引します。
ウーパー君はこの時点でショック状態にありました。
体色は白く、血行障害が進行しているのが明らかです。
実質臓器に針が当たらないよう、細心の注意でガスを吸引していきます。
お腹をぺったんこにするまで、吸引したガスが約15mlほどに達しました。
前の写真で鼓張していた腹部が、ずいぶん小さくなったのがお分かりでしょうか(黄色矢印)?
食餌が満足に摂れていなかったため、実際はお腹の中は空っぽの空腹状態です。
この状態で少しウーパー君に動きが出て来ました。
鰓の色が既に黒ずんでいますので心配です。
血流を改善するために、水温を一旦28~30度ほどにしてウーパー君を入れたところ、尻尾を振って泳ぎだしました。
しかしながら、浮遊が始まってから日にちが経過していますので、その間の循環血流障害とそれに伴う多臓器不全が問題となります。
良くなってくれれば容易のですが、要経過観察のウーパー君でした。
今回ご紹介させて頂きますのは、重度の浮遊病のウーパー君です。
すでに来院された時点で、このように水面から大きく身体が浮かび上がっていました。
3日前からこの状態が改善されないとのことですが、かなり厳しい状況です。
ウーパー君はすでに虫の息です。
ゆっくり検査している場合ではなく、消化管に貯留したガスが原因で水中に潜ることが出来ず、浮上しています。
食餌も満足に摂ることが出来ません。
齧歯類でいうところの鼓張症にあたると思って下さい。
緊急処置として、消化管内のガス抜きをしました。
注射器を用いてガスを吸引します。
ウーパー君はこの時点でショック状態にありました。
体色は白く、血行障害が進行しているのが明らかです。
実質臓器に針が当たらないよう、細心の注意でガスを吸引していきます。
お腹をぺったんこにするまで、吸引したガスが約15mlほどに達しました。
前の写真で鼓張していた腹部が、ずいぶん小さくなったのがお分かりでしょうか(黄色矢印)?
食餌が満足に摂れていなかったため、実際はお腹の中は空っぽの空腹状態です。
この状態で少しウーパー君に動きが出て来ました。
鰓の色が既に黒ずんでいますので心配です。
血流を改善するために、水温を一旦28~30度ほどにしてウーパー君を入れたところ、尻尾を振って泳ぎだしました。
しかしながら、浮遊が始まってから日にちが経過していますので、その間の循環血流障害とそれに伴う多臓器不全が問題となります。
良くなってくれれば容易のですが、要経過観察のウーパー君でした。
にほんブログ村にエントリーしています。
宜しかったら、こちらをクリックして頂けると励みになります。
投稿者 院長 | 記事URL
イエアメガエルの外傷
カエルをペットとして飼育される方は思いのほか多いと感じています。
両生類は哺乳類と異なり、体表部を保護する被毛はなく、薄皮一枚の皮膚で体を保護しています。
多くは水中に棲息して、皮膚は水分で十分に潤ってはいますが、一方で樹上生活を半分おくり、水中生活を半分送るといったライフスタイルをおくる両生類もいます。
本日、ご紹介するイエアメガエルもその1例です。
イエアメガエルはオーストラリアに棲息する大型のアマガエルで身体頑健で寿命は10年以上と言われています。
そんなイエアメガエルのアルース君は左後肢が腫れてきたとのことで来院されました。
写真をよくご覧いただきますと、黄色丸で囲んだ左後肢の太ももが、点状に皮下出血して、大きく腫れ上がっているのがお分かりになると思います。
アルース君の後ろ姿です。
大腿部の腫脹が激しく、陳旧化した皮膚がめくれて瘡蓋の様に皮膚にへばりついてます。
側面から見ますと太ももとふくらはぎの接触してる面が一皮めくれています。
太ももの外側面は2か所の皮膚欠損が認められます。
筋肉層が若干、顔を覗かせています。
太ももの内側面は皮膚が一部欠損しています。
皮膚の点状出血も広いに及んでます。
患部は熱感を帯びています。
飼育環境は樹木を水槽に入れているそうなので、樹皮で後肢を傷つけたのかもしれません。
カエルの外傷に引き続いて起こる細菌感染には、エロモナス属、シュードモナス属、フラボバクテリウム属が原因菌となることが多いです。
アルース君の治療として、抗生剤の投薬と一日数回の0.6%食塩水による薬浴を指示しました。
カエルは口が奥の方まで裂けており、比較的投薬は容易です。
早く良くなってスマートな後肢を見せていただきたく思います。
両生類は哺乳類と異なり、体表部を保護する被毛はなく、薄皮一枚の皮膚で体を保護しています。
多くは水中に棲息して、皮膚は水分で十分に潤ってはいますが、一方で樹上生活を半分おくり、水中生活を半分送るといったライフスタイルをおくる両生類もいます。
本日、ご紹介するイエアメガエルもその1例です。
イエアメガエルはオーストラリアに棲息する大型のアマガエルで身体頑健で寿命は10年以上と言われています。
そんなイエアメガエルのアルース君は左後肢が腫れてきたとのことで来院されました。
写真をよくご覧いただきますと、黄色丸で囲んだ左後肢の太ももが、点状に皮下出血して、大きく腫れ上がっているのがお分かりになると思います。
アルース君の後ろ姿です。
大腿部の腫脹が激しく、陳旧化した皮膚がめくれて瘡蓋の様に皮膚にへばりついてます。
側面から見ますと太ももとふくらはぎの接触してる面が一皮めくれています。
太ももの外側面は2か所の皮膚欠損が認められます。
筋肉層が若干、顔を覗かせています。
太ももの内側面は皮膚が一部欠損しています。
皮膚の点状出血も広いに及んでます。
患部は熱感を帯びています。
飼育環境は樹木を水槽に入れているそうなので、樹皮で後肢を傷つけたのかもしれません。
カエルの外傷に引き続いて起こる細菌感染には、エロモナス属、シュードモナス属、フラボバクテリウム属が原因菌となることが多いです。
アルース君の治療として、抗生剤の投薬と一日数回の0.6%食塩水による薬浴を指示しました。
カエルは口が奥の方まで裂けており、比較的投薬は容易です。
早く良くなってスマートな後肢を見せていただきたく思います。
にほんブログ村にエントリーしています。
宜しかったらこちらをクリックして頂けると励みになります。
投稿者 院長 | 記事URL
ウーパールーパーの異物誤飲(part3)
ウーパールーパーの異物誤飲の第3弾です。
今回の異物はビー玉を誤飲したウーパー君です。
さすがにウーパ―ルーパーではビー玉サイズになると嚥下は不可能なようです。
飼主様がビー玉を飲み込んだのを確認されての来院です。
黄色丸で囲んだウーパー君の下顎部が非常に腫れあがっているのがお分かり頂けると思います。
口を開けるとしっかりとビー玉が口の中一杯に食い込んでいます。
上写真の黄色矢印がビー玉です。
口内を傷つけないように優しく開口させて、下顎部から指先で圧迫をしてビー玉を押し出します。
何とかうまく取り出すことが出来ました!
本来、ウーパー君はアルビノで体色は白なんですが、ビー玉摘出で暴れたり、苦しかったりで体色が赤くなっています。
口のサイズに合うものであれば、ウーパールーパーはまず飲み込んでしまうものだと思って下さい。
つまり、そのサイズ以下の物は水槽に入れないことです。
場合によっては、全身麻酔で開腹手術が必要になったりします。
くれぐれもご注意ください。
今回の異物はビー玉を誤飲したウーパー君です。
さすがにウーパ―ルーパーではビー玉サイズになると嚥下は不可能なようです。
飼主様がビー玉を飲み込んだのを確認されての来院です。
黄色丸で囲んだウーパー君の下顎部が非常に腫れあがっているのがお分かり頂けると思います。
口を開けるとしっかりとビー玉が口の中一杯に食い込んでいます。
上写真の黄色矢印がビー玉です。
口内を傷つけないように優しく開口させて、下顎部から指先で圧迫をしてビー玉を押し出します。
何とかうまく取り出すことが出来ました!
本来、ウーパー君はアルビノで体色は白なんですが、ビー玉摘出で暴れたり、苦しかったりで体色が赤くなっています。
口のサイズに合うものであれば、ウーパールーパーはまず飲み込んでしまうものだと思って下さい。
つまり、そのサイズ以下の物は水槽に入れないことです。
場合によっては、全身麻酔で開腹手術が必要になったりします。
くれぐれもご注意ください。
にほんブログ村にエントリーしています。
宜しかったら、こちらをクリックして頂けると励みになります。
投稿者 院長 | 記事URL
ウーパールーパーの浮遊病
暑い最中、水槽の底をゆったりと佇むウーパールーパーは見ていて飽きません。
個人的に夏の清涼剤です。
今回、ご紹介しますのはウーパールーパーの浮遊病です。
この疾患は幼体で多く発生します。
ウーパールーパーは鰓呼吸と肺呼吸を終生にわたって、両方行っています。
幼体期は体も小さく、軽いため比較的簡単に水に浮いてしまいます。
原因は多くが、餌の食べ過ぎで消化過程で生じたガスで浮遊してしまうケース。
あるいはウーパールーパーは餌を丸飲み込みしますので、一緒に消化管にガスが混入して浮遊してしまうケースが多いように思います。
写真のウーパールーパーの元気君は生後まだ数週間の幼体ですが、数日前から水に浮くとのことで来院されました。
上の写真の黄色い丸は消化管に溜まったガスです。
幼体は皮膚も薄く、外から見て消化管の状態が分かりやすいです。
小さな水槽で飼育すると水中の溶存酸素が少ないため、鰓呼吸で酸素の吸収が不十分で、肺呼吸で水面からの呼吸を頻繁に行うようになります。
今回の元気くんは肺呼吸で頑張りすぎて口から飲み込んだガスが消化管に貯留したものと思われます。
多くの浮遊病は、特に投薬して治療する必要もなく自然に回復して水底を徘徊できるようになります。
しかし、何日も浮遊するケースもあり、この場合餌が自身が浮かんで採食できませんので、食餌の介助が必要となります。
消化管に貯留したガスを針で穿刺して抜くのは、幼体では危険なのでやめた方が良いです。
元気くんの背中が浸漬する程度の水を水槽に入れて、体が浮遊しない状態にした上で給餌を継続して頂くようお願いしました。
元気君、早く回復して大きなウーパーになって下さいね!
個人的に夏の清涼剤です。
今回、ご紹介しますのはウーパールーパーの浮遊病です。
この疾患は幼体で多く発生します。
ウーパールーパーは鰓呼吸と肺呼吸を終生にわたって、両方行っています。
幼体期は体も小さく、軽いため比較的簡単に水に浮いてしまいます。
原因は多くが、餌の食べ過ぎで消化過程で生じたガスで浮遊してしまうケース。
あるいはウーパールーパーは餌を丸飲み込みしますので、一緒に消化管にガスが混入して浮遊してしまうケースが多いように思います。
写真のウーパールーパーの元気君は生後まだ数週間の幼体ですが、数日前から水に浮くとのことで来院されました。
上の写真の黄色い丸は消化管に溜まったガスです。
幼体は皮膚も薄く、外から見て消化管の状態が分かりやすいです。
小さな水槽で飼育すると水中の溶存酸素が少ないため、鰓呼吸で酸素の吸収が不十分で、肺呼吸で水面からの呼吸を頻繁に行うようになります。
今回の元気くんは肺呼吸で頑張りすぎて口から飲み込んだガスが消化管に貯留したものと思われます。
多くの浮遊病は、特に投薬して治療する必要もなく自然に回復して水底を徘徊できるようになります。
しかし、何日も浮遊するケースもあり、この場合餌が自身が浮かんで採食できませんので、食餌の介助が必要となります。
消化管に貯留したガスを針で穿刺して抜くのは、幼体では危険なのでやめた方が良いです。
元気くんの背中が浸漬する程度の水を水槽に入れて、体が浮遊しない状態にした上で給餌を継続して頂くようお願いしました。
元気君、早く回復して大きなウーパーになって下さいね!
ウーパールーパーの浮遊病って、思いのほかしんどそうだなって
思われた方はこちらをクリックして頂けると励みになります!
投稿者 院長 | 記事URL