ウ―パールーパー・カエルの疾病
イエアメガエルの腹水症
先日、ウーパールーパーの腹水症についてコメントさせて頂きました。
今回はカエルの腹水症です。
イエアメガエルのまめすけ君は、腹部がこの2週間くらいで腫れてきて来院されました。
飼い主様は、はるばる大阪から当院までご来院頂きました。
下写真でお分かり頂けると思いますが、黄色丸の部分が腹部膨大しています。
触診、聴診から腹水が貯留していることは明らかなため、エコーをかけてみることにしました。
ウーパールーパーの腹水症でも述べたことですが、腹水が貯留する原因は心不全・肝不全・腎不全・代謝疾患・腫瘍・細菌、ウィルス感染等など考えられます。
犬猫のようにエコー以外にもさらに精密検査を実施して原因を解明できれば理想ですが、両生類では現時点では対症療法に終始せざる得ません。
思ったよりも多く腹水が貯留しており、ショック症状にまめすけ君が陥らないよう慎重にエコーをかけながら腹部を穿刺して腹水を吸引します。
下写真はエコーの画像です。
矢印で上下に挟んで表記している箇所(白く写っている)は、腹部に穿刺した注射針です。
発症前と現在とで体重が50g増大したとの申告に合わせて、約20%の腹水(12ml)を吸引させて頂きました。
今後の治療としては、両生類用に希釈して調整した哺乳類用の電解質液を用いて、まめすけ君をその電解質液中に浸漬して浸透圧を利用して腹水を抜いていく方法と利尿剤の内服を合わせて実施していきます。
腹水がある程度抜けて、すこし楽になったようにみえる、まめすけ君です。
大阪からはるばるお疲れ様でした!
今回はカエルの腹水症です。
イエアメガエルのまめすけ君は、腹部がこの2週間くらいで腫れてきて来院されました。
飼い主様は、はるばる大阪から当院までご来院頂きました。
下写真でお分かり頂けると思いますが、黄色丸の部分が腹部膨大しています。
触診、聴診から腹水が貯留していることは明らかなため、エコーをかけてみることにしました。
ウーパールーパーの腹水症でも述べたことですが、腹水が貯留する原因は心不全・肝不全・腎不全・代謝疾患・腫瘍・細菌、ウィルス感染等など考えられます。
犬猫のようにエコー以外にもさらに精密検査を実施して原因を解明できれば理想ですが、両生類では現時点では対症療法に終始せざる得ません。
思ったよりも多く腹水が貯留しており、ショック症状にまめすけ君が陥らないよう慎重にエコーをかけながら腹部を穿刺して腹水を吸引します。
下写真はエコーの画像です。
矢印で上下に挟んで表記している箇所(白く写っている)は、腹部に穿刺した注射針です。
発症前と現在とで体重が50g増大したとの申告に合わせて、約20%の腹水(12ml)を吸引させて頂きました。
今後の治療としては、両生類用に希釈して調整した哺乳類用の電解質液を用いて、まめすけ君をその電解質液中に浸漬して浸透圧を利用して腹水を抜いていく方法と利尿剤の内服を合わせて実施していきます。
腹水がある程度抜けて、すこし楽になったようにみえる、まめすけ君です。
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投稿者 院長 | 記事URL
アフリカツメガエルの赤足病
以前、シュレーゲルアオガエルの赤足病についてコメントさせて頂いたことがあります。
今回はアフリカツメガエルの赤足病です。
アルビノのアフリカツメガエルのファニスタちゃん(♀)は肢の爪の間が赤くなり、両目の端も赤くなり気になるとのことで来院されました。
アフリカツメガエルは南アフリカ原産のカエルで、四肢は体の側面から真横に出ているのが特徴です。
5本ある後肢の指のうち3本には爪があり、これがツメガエルの名の由来だそうです。
他のカエルの様に陸地に上がったりせず、水中生活のみで一生を終えます。
実験発生学などのモデル動物として、研究機関で使用される一方で、水質さえしっかり維持できれば人工飼料で飼育は容易なため、ペットとしての人気は高いようです。
この赤足病ついての概要・治療の詳細はこちらをご覧ください。
水中に存在するAeromonas hydrophila等の患部感染により、引き起こされる細菌性皮膚敗血症なので基本的には抗生剤の投与が必要です。
口からの直接投与よりは、水槽内の水に抗生剤を溶かすか、もしくは高張液(6%)の塩化ナトリウム水溶液に個体を浸漬するかして治療します。
そして何よりも重要なのは、水槽内の衛生的環境の維持です。
特に水質を清潔にご注意願います。
今回はアフリカツメガエルの赤足病です。
アルビノのアフリカツメガエルのファニスタちゃん(♀)は肢の爪の間が赤くなり、両目の端も赤くなり気になるとのことで来院されました。
アフリカツメガエルは南アフリカ原産のカエルで、四肢は体の側面から真横に出ているのが特徴です。
5本ある後肢の指のうち3本には爪があり、これがツメガエルの名の由来だそうです。
他のカエルの様に陸地に上がったりせず、水中生活のみで一生を終えます。
実験発生学などのモデル動物として、研究機関で使用される一方で、水質さえしっかり維持できれば人工飼料で飼育は容易なため、ペットとしての人気は高いようです。
この赤足病ついての概要・治療の詳細はこちらをご覧ください。
水中に存在するAeromonas hydrophila等の患部感染により、引き起こされる細菌性皮膚敗血症なので基本的には抗生剤の投与が必要です。
口からの直接投与よりは、水槽内の水に抗生剤を溶かすか、もしくは高張液(6%)の塩化ナトリウム水溶液に個体を浸漬するかして治療します。
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投稿者 院長 | 記事URL
ウーパールーパーの腹水症
ウーパールーパーの疾病の中で、浮遊病に次いで多いのが腹水症です。
これは、体腔内に水が貯留する疾病です。
浮遊病は消化管内に溜まったガスが体に浮力をつけて、水面にまで浮かんでしまいます。
一方、腹水症は水が溜まることで水槽の水底にうずくまる姿勢をとります(貯留する腹水量によります)。
今回ご紹介しますウーパー君は、この2週間くらいの間に少しづつお腹が膨らんできたとのことで来院されました。
下写真にあるようにかなり腹囲が膨満しています。
触診をした感じでは、腹腔内にガスが溜まるというよりは液体の貯留している波動感があります。
腹腔内に溜まっているものが何かを確認するため、レントゲン撮影を実施しました。
上写真のレントゲン像で黄色丸で表した個所、といってもほとんどの体腔内に白く描出された腹水が確認されます。
腹水症と診断はできましたが、この腹水症の原因は種々あります。
細菌やウィルス感染・心疾患・肝疾患・腎疾患・体腔内の腫瘍等です。
犬猫といった哺乳類であれば、さらに各種検査で原因究明は可能ですが、両生類は詳細の確認ができません。
対症療法に終始せざる得ないわけですが、まずは腹水の性状を調べることとしました。
慎重に腹腔内に針を入れて、腹水を吸引していきます。
吸引した腹水は比重が1.003という低比重で、ほとんど水に近いものです。
貯留している腹水を全部抜去することは、かなり危険でショック状態に陥る場合もあります。
今回は腹水検査のための吸引に留めます。
あとは、試験的に内服薬を投与して腹水を減少させていく予定です。
両生類用リンゲル液に個体ごと浸漬して、浸透圧を利用して腹水を抜いていく方法もあります。
いずれにせよ、ウーパー君に負担をかけないように、かつ速やかに腹水を抜去する方法を展開します。
経過は追って報告させて頂きます。
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これは、体腔内に水が貯留する疾病です。
浮遊病は消化管内に溜まったガスが体に浮力をつけて、水面にまで浮かんでしまいます。
一方、腹水症は水が溜まることで水槽の水底にうずくまる姿勢をとります(貯留する腹水量によります)。
今回ご紹介しますウーパー君は、この2週間くらいの間に少しづつお腹が膨らんできたとのことで来院されました。
下写真にあるようにかなり腹囲が膨満しています。
触診をした感じでは、腹腔内にガスが溜まるというよりは液体の貯留している波動感があります。
腹腔内に溜まっているものが何かを確認するため、レントゲン撮影を実施しました。
上写真のレントゲン像で黄色丸で表した個所、といってもほとんどの体腔内に白く描出された腹水が確認されます。
腹水症と診断はできましたが、この腹水症の原因は種々あります。
細菌やウィルス感染・心疾患・肝疾患・腎疾患・体腔内の腫瘍等です。
犬猫といった哺乳類であれば、さらに各種検査で原因究明は可能ですが、両生類は詳細の確認ができません。
対症療法に終始せざる得ないわけですが、まずは腹水の性状を調べることとしました。
慎重に腹腔内に針を入れて、腹水を吸引していきます。
吸引した腹水は比重が1.003という低比重で、ほとんど水に近いものです。
貯留している腹水を全部抜去することは、かなり危険でショック状態に陥る場合もあります。
今回は腹水検査のための吸引に留めます。
あとは、試験的に内服薬を投与して腹水を減少させていく予定です。
両生類用リンゲル液に個体ごと浸漬して、浸透圧を利用して腹水を抜いていく方法もあります。
いずれにせよ、ウーパー君に負担をかけないように、かつ速やかに腹水を抜去する方法を展開します。
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投稿者 院長 | 記事URL
アカハライモリの舌損傷
アカハライモリは、日本固有の両生類です。
日本で一般にイモリと言えば、このアカハライモリを指します。
下腹部に赤い模様があり、トカゲのような印象を受けます。
このアカハライモリの愛好家は多く、実をいうこの私も小学生の頃、多頭飼育していました。
本日、ご紹介しますのはこのアカハライモリのドラゴン君です。
下顎が腫れ、お腹も腫れ、食欲が無くなってきたとのことで来院されました。
下写真にありますように、黄色矢印に示したように舌が腫大し、飛び出しています。
加えて下顎部が腫大しています。
開口させて、舌を拝見しますと潰瘍を起こして舌全体が腫れあがっています。
残念ながらあまりに小さな両生類で、鉗子で開口はできても舌の病変部を上手く接写出来ませんでした。
恐らくは舌に損傷を受けて、そこから雑菌が入り炎症を起こし潰瘍に至ったものと思われます。
さらに開口が十分にできず、呼吸不全からガスが消化管に貯留し始めたかもしれません。
餌が自身で採食できないのが問題です。
飼い主様に強制給餌の仕方をお伝えし、しばし抗生剤の投薬で潰瘍を直していく方針です。
日本で一般にイモリと言えば、このアカハライモリを指します。
下腹部に赤い模様があり、トカゲのような印象を受けます。
このアカハライモリの愛好家は多く、実をいうこの私も小学生の頃、多頭飼育していました。
本日、ご紹介しますのはこのアカハライモリのドラゴン君です。
下顎が腫れ、お腹も腫れ、食欲が無くなってきたとのことで来院されました。
下写真にありますように、黄色矢印に示したように舌が腫大し、飛び出しています。
加えて下顎部が腫大しています。
開口させて、舌を拝見しますと潰瘍を起こして舌全体が腫れあがっています。
残念ながらあまりに小さな両生類で、鉗子で開口はできても舌の病変部を上手く接写出来ませんでした。
恐らくは舌に損傷を受けて、そこから雑菌が入り炎症を起こし潰瘍に至ったものと思われます。
さらに開口が十分にできず、呼吸不全からガスが消化管に貯留し始めたかもしれません。
餌が自身で採食できないのが問題です。
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ウーパールーパーの浮遊病(その3)
ウーパールーパーの浮遊病のご紹介です。
今回は第3弾目です。
本日のウーパー君は2匹います。
同居飼育されている個体で、1匹は浮遊病が重度であり、もう1匹は比較的軽度です。
体格の大きなウーパー君は小さなウーパー君に咬みつかれ、3本の肢を失っていました。
実際、ウーパーの咬みつく力は強いですから幼体の頃なら四肢を失う事もあるでしょうね。
残念ながら、名前が付けられていない個体達なので今後、 大くん と 小くん と呼称させて頂きます。
大くんは2週間前から、お腹を上にして水面に浮かび始めたそうです。
日を追うごとに浮遊の程度は増し、食餌も満足に摂れなくなり来院されました。
来院時には、下写真の黄色丸のように総排泄腔から腸が脱出し、しかもその腸はガスを含んでおり、あたかも鼻提灯みたいな感じで膨らんでいます。
まずはこの脱出した腸を総排泄腔へ戻します。
何とか戻した後で、腹部のガスの貯留を確認するために検耳鏡のライトを当てます。
上写真の黄色丸で囲んだ部分が透けて見えますが、これが貯留しているガスです。
この部分に27Gの注射針を穿刺してガス抜きを実施します。
少しづつガスを抜去していきます。
ガスが抜けてきたのがお分かり頂けると思います。
お腹周りがスッキリしました。
大くんは、水に戻すとある程度バランスが取れて普通に泳げるようです。
次に小くんは、腹部のガスは少量しか貯留していないため、わずかのガス抜きで終了です。
処置後も、小くんは活動的です。
大くんのガスの貯留が今回のガス抜きで完治してくれればよいのですが、再発する可能性もあります。
同一の飼育環境で2匹が浮遊病になるという点から、水槽内の溶存酸素量が少なくなって、肺呼吸による水面からの呼吸を頻繁に行っていたものと考えられます。
結果として、口から飲み込んだ空気が消化管に貯留したと考えられます。
しばらくは、水位を低くしてエアレーションを施した環境でお世話して頂くよう、飼主様にお願い致しました。
今回は第3弾目です。
本日のウーパー君は2匹います。
同居飼育されている個体で、1匹は浮遊病が重度であり、もう1匹は比較的軽度です。
体格の大きなウーパー君は小さなウーパー君に咬みつかれ、3本の肢を失っていました。
実際、ウーパーの咬みつく力は強いですから幼体の頃なら四肢を失う事もあるでしょうね。
残念ながら、名前が付けられていない個体達なので今後、 大くん と 小くん と呼称させて頂きます。
大くんは2週間前から、お腹を上にして水面に浮かび始めたそうです。
日を追うごとに浮遊の程度は増し、食餌も満足に摂れなくなり来院されました。
来院時には、下写真の黄色丸のように総排泄腔から腸が脱出し、しかもその腸はガスを含んでおり、あたかも鼻提灯みたいな感じで膨らんでいます。
まずはこの脱出した腸を総排泄腔へ戻します。
何とか戻した後で、腹部のガスの貯留を確認するために検耳鏡のライトを当てます。
上写真の黄色丸で囲んだ部分が透けて見えますが、これが貯留しているガスです。
この部分に27Gの注射針を穿刺してガス抜きを実施します。
少しづつガスを抜去していきます。
ガスが抜けてきたのがお分かり頂けると思います。
お腹周りがスッキリしました。
大くんは、水に戻すとある程度バランスが取れて普通に泳げるようです。
次に小くんは、腹部のガスは少量しか貯留していないため、わずかのガス抜きで終了です。
処置後も、小くんは活動的です。
大くんのガスの貯留が今回のガス抜きで完治してくれればよいのですが、再発する可能性もあります。
同一の飼育環境で2匹が浮遊病になるという点から、水槽内の溶存酸素量が少なくなって、肺呼吸による水面からの呼吸を頻繁に行っていたものと考えられます。
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