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腫瘍疾患/うさぎ

2013年5月18日 土曜日

ウサギの乳腺腫瘍

避妊手術をうけていない雌のウサギで、子宮腺癌についで多い疾患が乳腺腫瘍です。

今回、ご紹介しますのはネザーランド・ドワーフのいちごちゃん(♀・6歳)です。



右側の2番と3番目の乳房間にしこり(下写真黄色丸)があり、最近大きくなってきたとのことで来院されました。



早速患部を穿刺して、細胞診を実施しました。





検査結果は、乳腺癌です。

ウサギの乳腺腫瘍の90%以上が乳腺癌で悪性腫瘍です。

また乳腺癌は転移しやすく、肺やリンパ節への転移もあります。

レントゲン撮影を行い、肺野の腫瘍の転移を確認します。





腫瘍の転移は認められず、乳腺癌の摘出手術を実施することとなりました。

いちごちゃんは頸のところにあるマフラーが非常に発達しているため、手術台を傾斜させマフラーが気管を圧迫しないようにします。







摘出患部からの出血はほとんどなく、手術は無事終了しました。











いちごちゃんは術後の経過も良好で、患部は綺麗に治癒しました。

今後、乳腺癌の再発あるいは他の乳房への転移を経過観察していきます。

つまるところ、1歳までに避妊手術を積極的に受けていただくことで乳腺癌の発症を防いでいただきたいと思います。





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年4月 4日 木曜日

ウサギの肺腫瘍

肺と言いう臓器は、血液中のガス交換をする重要な役割を担っています。

肺を絶えず血液が巡るということは、血中に腫瘍細胞が流出したら、肺に至る確率は極めて高いということです。

特にウサギの場合、雌は乳癌、子宮腺癌になることがあり、二次的に肺に腫瘍が転移するケースを多く診てます。

実際、ヒトの場合もそうでしょうが、ウサギにしても肺腫瘍となると完治することは至難です。


本日、ご紹介しますミニウサギのクロ君(雄、8歳、体重1.6㎏)は一時的なてんかん発作を起こしたとのことで来院されました。



呼吸が浅いという事、前肢を立てたままの状態でいることから呼吸が辛くなっているだろうと判断しました。

早速、レントゲン撮影を実施しました。





黄色丸で囲んだ肺野が白く点々が入っているのがお分かりいただけたでしょうか?

さらに患部を拡大します。





特に上写真では心臓のシルエットも見にくくなるくらい肺野に多数のX線不透過の結節が認められます。

先に述べましたように、雌であれば乳癌、子宮腺癌がらみの腫瘍転移はありですが、クロ君は雄です。

クロ君を診る限り、体表部に腫瘍は認められません。

また他の箇所もレントゲンを撮影しましたが、腫瘍を疑わせる所見はありませんでした。

となると、肺がこの腫瘍の原発巣となるのでしょうか?

ウサギの肺原発性腫瘍は極めてまれな症例と言われています。





クロ君の腫瘍のステージはかなり進行しており、末期に至っていると思われました。

出来うることは対症療法となります。

流動食で最低限の体力は維持してもらい、内科的治療で呼吸を楽にし、疼痛管理をするという形になります。

飼い主様の意向もあり、しばし当院のICUに入院して頂き、治療をさせていただきました。

40%の酸素濃度で管理されたケージ内で、呼吸は安定しているかに見えたのですが、残念ながら翌日に逝去されました。




ウサギの胸腔の狭さと呼吸不全については、度々コメントさせて頂いてます。

ウサギの肺野が一旦、炎症を起こすと慢性化するケースが多く、治療・管理は大変となります。

呼吸が荒い、口で呼吸をしている等の症状が見られたら、早めの受診を強くお勧めします。

今回のクロ君は、どんな腫瘍なのかも特定できないままの急展開でした。

力及ばず、非常に残念です。

合掌




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2012年10月24日 水曜日

ウサギの子宮腺癌(その2)

ウサギの子宮疾患は色々な症状を示します。

発病初期は陰部からの出血例が70%位を示すと言われています。

来院される時は多くの飼主様が血尿が出ると申告されるケースが多いです。

血尿というとどうしても膀胱炎や尿石症をイメージしてしまいますが、4歳以降の雌ウサギであればむしろ子宮疾患を疑って欲しいと思います。

本日ご紹介するのは、ライオンラビットのらんちゃんです。

らんちゃんは数週間前から、血尿が出ているとのことで来院されました。



尿検査では潜血反応は陰性でした。

膀胱を早速エコー検査したところ、特に結石もなく出血の形跡もありません。

むしろ5歳を過ぎた雌と言いうことで、子宮疾患を疑って子宮を入念に検査しました。

結果は下の通りです。

黄色丸で示した部分が子宮の断面を描出しています。

子宮角に実質性の腫瘤があるようです。



腫瘍の可能性が大とみて手術に移ります。





黄色矢印の部分は子宮角にあたりますが、ここに非常に硬い結節が認められました。





卵巣動静脈をバイクランプでシールします。

ついで子宮頚部をシールしてメスでカットします。





子宮頚部の切断面をしっかり縫合します。





手術は無事終了しました。

摘出した卵巣と子宮が下の写真です。



緑の矢印が卵巣で黄色丸が子宮角のうち腫瘤を呈した部分です。摘出子宮全体がどす黒い色をしています。

この腫瘤をカットした写真です。



この部位をスタンプ染色しました。





結局、子宮内膜の過形成と子宮腺腫癌であることが判明しました。

らんちゃんの術後の経過は良好で、血尿も止まり食欲も回復しました。

退院当日のらんちゃんです。





毎回申し上げていますが、4,5歳以降になると子宮疾患のウサギが増えます。

犬猫と同様、できる限り早い年齢(1歳未満くらい)で避妊手術を受けられることをお勧めいたします。



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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年6月 3日 日曜日

ウサギの毛芽腫

ウサギの体表部に認められる腫瘤(しこり)には、皮下膿瘍や水腫、肉芽腫に代表される非腫瘍性病変と表皮、毛包由来、皮脂腺

由来等の腫瘍性病変に分けられます。


今回、毛包由来の毛芽腫(Trichoblastoma)という腫瘍について報告します。

ご紹介するのはウサギのいちごちゃん(5歳)です。

左の大腿部外側面に親指大の腫瘤が一か月ほどの間にできたとのことで来院されました。

ひとまず、どういう細胞なのかを知るために細胞診を実施しました。

下は患部を細胞診した写真です。




上皮性の腫瘍細胞が認められましたので、早速外科的に切除をすることになりました。






黄色の丸で囲んだのが腫瘍の患部です。





思いのほか大きな腫瘍でしたので、患部への発達した栄養血管も考慮して、バイポーラの電気メスで切除しました。



ほとんど出血がなく、綺麗に切除は完了しました。






わずか15分くらいの手術でしたので、本人はいたって何事もなかったかのような風情です。

下が切除した腫瘍です。



次は切除した腫瘍の割面です。




切除患部のスタンプ標本は以下の通りです。





一般にウサギの皮膚腫瘍は少ないとされていますが、その中でも今回の毛芽腫は発生が多い腫瘍です。

幸いなことに毛芽腫は良性の腫瘍です。

外科切除も容易であり、予後も良好で再発例も少ないと言われます。

発生部位によっては、患部が自壊をきたして細菌感染をしたり出血を伴ったりしますので、手術適応な状態ならば早期の外科手

術をお勧めします。





ウサギの毛芽腫なんなのか知りません!

 

 
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年4月 3日 火曜日

ウサギの子宮腺癌

ウサギは繁殖力に特化した動物です。

これは当院のホームページのウサギの疾病に載せたとおりです。

そして多くの避妊していないウサギは平均4歳以降に子宮疾患を起こします。

その理由は、発情期が極めて長いため子宮が長期間にわたりエストロジェンに暴露されるためです。

今回、ご紹介するのはホーランドロップのクルミちゃん(8歳4か月)です。

最近、食欲不振・尿量低下で来院されました。



尿検査をしたところ、潜血反応・顕微鏡下での赤血球を確認しました。

高齢でもあり、血尿がからんでくると子宮疾患の可能性が高くなります。

レントゲン写真でも下腹部に腫瘤(マス)の存在を認めます。




腹部の膨満が著しいため、急遽、卵巣子宮摘出を前提とした試験的開腹手術を実施することとしました。



仰向けの姿勢で既に下腹部が膨隆しているのがお分かりいただけると思います。



早速メスを入れたところ、腹膜下より子宮とおぼしき組織が出てきました。



慎重に内容を外に出します。



卵巣から子宮角、子宮間膜、子宮頚部へと大きな腫瘍が形成されています。



これだけ腫瘍が広い範囲に及んでおり、出血量も多いと見込まれましたのでバイクランプによる止血を実施しました。









これだけ大きな腫瘍ですから、手術も長時間にわたる覚悟でいましたが、バイクランプによる迅速な止血でわずか30分ほどで終了しました。



腫瘍摘出後の腹腔内出血もなく、実にすっきりした感があります。








皮膚縫合を終え、麻酔の覚醒を待ちます。







無事、麻酔から覚醒したところです。

クルミちゃん、よく頑張ってくれました!

ウサギは犬猫の比べて組織自体が脆弱で取り扱いは細心の注意を要しますが、それ以上に麻酔の管理が大変です。

ですから、麻酔から確実に覚醒してくれた時が一番嬉しいです。

摘出した腫瘍は400gありました。ちなみにクルミちゃんの体重は1700gでした。




手術は成功したのですが、術後3日目にクルミちゃんは急逝されました。

原因はいろいろ考えられますが、体の4分の1にあたる腫瘍が循環血流量及び栄養分の多くを吸収していたはずですから、摘出後の循環血流量の低下に伴うショックが生じたと思われます。

犬のように輸血自体ができない動物なので、限界を感じます。

ただこの文章をご覧になっていただいてる皆様に申し上げたいのは、雌のウサギの子宮疾患発生率は犬よりも高く、予防するための唯一の手段は避妊手術しかありません。

可能な限り、若い1歳未満の時期に避妊手術をお受けいただくことを強くお勧めいたします。


合掌








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