腫瘍疾患/うさぎ
2014年9月18日 木曜日
ウサギの子宮水腫
こんにちは 院長の伊藤です。
雌ウサギでシニア世代(5歳以降)になると何らかの形で産科系の疾患が絡んできます。
子宮腺癌や子宮内膜炎、子宮水腫、乳腺腫瘍等などです。
これらの産科系疾患を防ぐためには、1歳までに避妊手術を受けられることをお勧めしています。
表だって何らかの症状があって来院されるケースがほとんどですが、臨床症状が認められずに一般の避妊手術をご希望され、開腹したら疾病が見つかったというケースもあります。
本日はそんな症例をご紹介します。
ネザーランドドワーフのみかんちゃん(5歳、雌、1.3kg)は避妊手術で来院されました。
当院は手術は緊急以外はすべて予約で対応させて頂いています。
初回の診察ではみかんちゃんは、食欲もあり視診・触診・聴診でも異常な所見は見当たりませんでした。
強いて申し上げれば、偽妊娠になっており乳腺が発達しており、圧迫すると乳房から乳が出て(射乳)きました。
他の記事でもよくコメントしますが、ウサギは常時発情状態にあります。
状況によっては、容易に偽妊娠になります。
2回目の来院で避妊手術を実施させていただきました。
いつもながらの術前の血液検査から始めます。
点滴のルート確保のため留置針を入れます。
イソフルランのガス麻酔で全身麻酔を行います。
患部を剃毛・消毒します。
これから執刀します。
開腹すると膨満したした子宮が飛び出してきました。
良く見ますと子宮角は内部が水で満たされ(下写真黄色丸)、子宮水腫という疾患であることが判明しました。
これもいつもようにバイクランプで卵巣動静脈をシーリングします。
シーリングした卵巣動静脈をカットします。
子宮動脈もシーリングします。
子宮頸管はウサギは発達して厚いため、バイクランプは使用できませんので縫合糸で結紮・離断していきます。
あとは閉腹して手術は終了です。
これで皮膚縫合して終了です。
麻酔覚醒を促すためメデトミジンの中和剤のアチパメゾールを静脈投与します。
アチパメゾールを注射しますと意識が速やかに戻って暴れることもあります。
摘出した卵巣・子宮です。
手術は無事終了してICUにて落ち着いているみかんちゃんです。
疼痛感から表情は硬い印象を受けます。
今回、摘出した子宮は水腫となっていました。
重さを計量しましたら105gありました。
みかんちゃんは以前から偽妊娠はあったようで、卵巣からの黄体ホルモン異常が背景にあったものと思われます。
偽妊娠を繰り返す個体は最終的に子宮疾患になります。
後に調べた子宮内の貯留水は、幸いに漿液性で非細菌性のものでした。
子宮水腫の場合、子宮は腫大して子宮壁は薄くなりますので、腹部を圧迫したりしただけでも子宮破裂する可能性があります。
場合によっては、子宮捻転の原因にもなります。
ウサギの子宮水腫の死亡率は子宮蓄膿症と並んで50%に達すると言われる研究者もいます。
ウサギの腹壁は犬猫の比べて非常に薄いため、開腹時には慎重にメスを運びますが、予想していない子宮水腫でしたのでびっくりしました。
5歳以降のシニア世代のウサギの避妊手術は、たとえ臨床症状がなくても、術前にエコーかレントゲン撮影をして子宮疾患の存在確認が必要と反省した次第です。
下写真は、2週間後の抜糸で来院されたみかんちゃんです。
術後の経過良好で、食欲もあり元気です。
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2014年6月19日 木曜日
ウサギの子宮腺癌・子宮水腫(その3)
こんにちは 院長の伊藤です。
ウサギは繁殖に特化した動物です。
自然界では肉食獣に捕食される立場にありますから、種の保存のためにも繁殖能力は秀でている必要があるわけです。
野生のウサギは年間5~6回出産するとされます。
一方、家庭でペットとして飼育されている妊娠させないウサギの子宮は1年中、過剰量の女性ホルモン(エストロジェン)に暴露されます。
ウサギの子宮疾患が多発する原因は上記の点にあります。
以前、ウサギの子宮腺癌、ウサギの子宮腺癌(その2)にもその詳細を記載しました。
興味のある方は上記下線部をクリックして下さい。
前置きが長くなりました。
本日ご紹介しますのは、ウサギの子宮腺癌の第3弾です。
今回は子宮水腫も伴う症例です。
ロップイヤーのタックちゃん(6歳10か月齢、雌)はわずかながら陰部からの出血がしばらく続くとのことで来院されました。
タックちゃんの年齢から推察すると、子宮疾患を持っている可能性は高いように思われました。
飼い主様が避妊手術を希望されたこともあり、またタックちゃんの全身状態も良好なため一般の避妊手術としてお受けすることになりました。
手術を受けて頂くためには、犬猫以上にデリケートな動物なので入念な準備が必要です。
換気不全に陥らないようにICUの部屋(下写真)で高濃度の酸素を吸入させ、肺を酸素化します。
もし手術中に呼吸停止したとしても、わずか1~2分でもこの酸素化処置が効果を示し、緊急処置に対応できる場合があります。
次に血液検査を実施して、全身麻酔に耐えられるかチェックします。
次に前足の橈側皮静脈に点滴のラインを確保するため、留置針を入れます。
麻酔導入薬を投与した後、ガス麻酔でしっかり寝ていただきます。
これから手術に移ります。
腹部正中線に沿ってメスを入れます。
腹筋を切開したところで、腫大した子宮が外に出て来ました。
下写真黄色丸が子宮腺癌と思われる箇所で、黄色矢印は子宮水腫です。
子宮全体を入念に観察して、この部位以外に腫瘍と思しきものはないことを確認します。
卵巣動静脈をバイクランプでシーリングします。
7歳近くなると腹腔内も内臓脂肪も多くなり、脂肪組織内に潜んでいる血管を傷つけないよう卵巣と子宮の摘出を進めていきます。
最後に子宮頚部を離断します。
摘出した子宮です。
子宮腺癌と思われる部位を切開した断面です。
この断面をスタンプ染色した結果が下写真です。
炎症細胞と腫瘍細胞が認められます。
水腫の箇所を切開しました。
下写真にありますように子宮粘膜が炎症を起こし、一部出血・腐敗が始まっています。
これらの箇所から持続的にタックちゃんは出血があったものと思われます。
特に出血もなく無事卵巣・子宮を摘出し、閉腹します。
ウサギは術後、患部を齧ることが多いためステープルで縫合することが多いです。
縫合後の患部です。
手術直後のタックちゃんです。
ウサギの場合、術後にチモシー(乾草)を食べてくれるか否かで予後が分かります。
タックちゃんは術後しばらくしてチモシーを採食し始めました。
ウサギの手術後でホッとする瞬間です。
翌日のタックちゃんです。
水も飲み、ICU内で動き回れるようになっています。
無事タックちゃんは、元気に退院となりました。
4歳以降の未避妊雌の陰部出血は子宮疾患の可能性が高いとされます。
先に述べたとおり、ホルモンバランスの問題を雌ウサギは抱えています。
毎回、同じことを書いていますが、1歳になるまでに避妊手術を受けられることをお勧めします。
タックちゃんのように、子宮腺癌がまだ子宮全体に広がる前であれば予後良好ですが、子宮腺癌の末期ステージでは肺にも癌が転移するケースも多く、術後の生存率は低くなります。
雌ウサギを雄同様に長生きさせるためにも、避妊手術の必要性を感じます。
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ウサギは繁殖に特化した動物です。
自然界では肉食獣に捕食される立場にありますから、種の保存のためにも繁殖能力は秀でている必要があるわけです。
野生のウサギは年間5~6回出産するとされます。
一方、家庭でペットとして飼育されている妊娠させないウサギの子宮は1年中、過剰量の女性ホルモン(エストロジェン)に暴露されます。
ウサギの子宮疾患が多発する原因は上記の点にあります。
以前、ウサギの子宮腺癌、ウサギの子宮腺癌(その2)にもその詳細を記載しました。
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前置きが長くなりました。
本日ご紹介しますのは、ウサギの子宮腺癌の第3弾です。
今回は子宮水腫も伴う症例です。
ロップイヤーのタックちゃん(6歳10か月齢、雌)はわずかながら陰部からの出血がしばらく続くとのことで来院されました。
タックちゃんの年齢から推察すると、子宮疾患を持っている可能性は高いように思われました。
飼い主様が避妊手術を希望されたこともあり、またタックちゃんの全身状態も良好なため一般の避妊手術としてお受けすることになりました。
手術を受けて頂くためには、犬猫以上にデリケートな動物なので入念な準備が必要です。
換気不全に陥らないようにICUの部屋(下写真)で高濃度の酸素を吸入させ、肺を酸素化します。
もし手術中に呼吸停止したとしても、わずか1~2分でもこの酸素化処置が効果を示し、緊急処置に対応できる場合があります。
次に血液検査を実施して、全身麻酔に耐えられるかチェックします。
次に前足の橈側皮静脈に点滴のラインを確保するため、留置針を入れます。
麻酔導入薬を投与した後、ガス麻酔でしっかり寝ていただきます。
これから手術に移ります。
腹部正中線に沿ってメスを入れます。
腹筋を切開したところで、腫大した子宮が外に出て来ました。
下写真黄色丸が子宮腺癌と思われる箇所で、黄色矢印は子宮水腫です。
子宮全体を入念に観察して、この部位以外に腫瘍と思しきものはないことを確認します。
卵巣動静脈をバイクランプでシーリングします。
7歳近くなると腹腔内も内臓脂肪も多くなり、脂肪組織内に潜んでいる血管を傷つけないよう卵巣と子宮の摘出を進めていきます。
最後に子宮頚部を離断します。
摘出した子宮です。
子宮腺癌と思われる部位を切開した断面です。
この断面をスタンプ染色した結果が下写真です。
炎症細胞と腫瘍細胞が認められます。
水腫の箇所を切開しました。
下写真にありますように子宮粘膜が炎症を起こし、一部出血・腐敗が始まっています。
これらの箇所から持続的にタックちゃんは出血があったものと思われます。
特に出血もなく無事卵巣・子宮を摘出し、閉腹します。
ウサギは術後、患部を齧ることが多いためステープルで縫合することが多いです。
縫合後の患部です。
手術直後のタックちゃんです。
ウサギの場合、術後にチモシー(乾草)を食べてくれるか否かで予後が分かります。
タックちゃんは術後しばらくしてチモシーを採食し始めました。
ウサギの手術後でホッとする瞬間です。
翌日のタックちゃんです。
水も飲み、ICU内で動き回れるようになっています。
無事タックちゃんは、元気に退院となりました。
4歳以降の未避妊雌の陰部出血は子宮疾患の可能性が高いとされます。
先に述べたとおり、ホルモンバランスの問題を雌ウサギは抱えています。
毎回、同じことを書いていますが、1歳になるまでに避妊手術を受けられることをお勧めします。
タックちゃんのように、子宮腺癌がまだ子宮全体に広がる前であれば予後良好ですが、子宮腺癌の末期ステージでは肺にも癌が転移するケースも多く、術後の生存率は低くなります。
雌ウサギを雄同様に長生きさせるためにも、避妊手術の必要性を感じます。
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2014年2月27日 木曜日
ウサギの皮膚線維腫
ウサギにはいろんな皮膚腫瘍(乳頭腫、基底細胞腫、扁平上皮癌、毛芽腫など)があります。
以前にもウサギの毛芽腫についてコメントさせて頂きました。(興味のある方はこちらをクリックして下さい。)
本日ご紹介しますのは、その皮膚腫瘍の中でも線維腫と言う良性の腫瘍です。
ウサギのパン君(10歳、雄)は数か月前くらいから胸腹部の腫瘤が大きくなってきたとのことで来院されました。
ウサギで10歳となるとヒトの80歳から90歳の年齢層になります。
触診してみますとかなりの大きさの腫瘤です。
おそらく腫瘍と思われました。
パン君は胸の毛がしっかり生えていますので外貌を写真で写してもわからないと判断して、話は前後しますが手術時の剃毛後の患部写真(下)をご覧いただきます。
2~5cm以上の腫瘍が合体してとても大きくなっています。
実際、パン君が伏せの姿勢でいると床面との干渉があり、ストレスになっているようです。
まずは患部の細胞診を実施しました。
コラーゲンを作る繊維芽細胞が過剰に増殖しておこる腫瘍を線維腫と言います。
パン君はこの線維腫であるとの診断を病理医から頂きました。
この線維腫と似た腫瘍に線維肉腫という悪性腫瘍がありますが、今回のパン君は良性の物ですから年齢との関係で外科手術を強行すべきか悩みました。
非常に熱心な飼い主様で、外科手術を希望され、慎重に腫瘍摘出手術を行うことになりました。
広い範囲にわたる皮膚の切除が必要となると思われました。
高齢のウサギの麻酔で問題となるのは、呼吸管理です。
ウサギは鼻呼吸を基調として、腹腔に対する胸腔の割合が著しく小さいこと。
口腔が小さく、軟口蓋が気管開口部を覆うように位置していることが長時間の麻酔管理を難しくしています。
1分でも早く確実に手術を終了させなければなりません。
イメージ的には下写真黄色丸のエリアを全て腫瘍のマージンを含め切除します。
電気メスで血管を止血しながら皮膚切除していきます。
この腫瘍は思った以上に深く浸潤しており、胸部皮筋に及んでいました。
腫瘍の最深部は石灰化が起こっており、非常に摘出が難しくなってます(下写真)。
メスを入れた各部位からジワジワ出血が始まります。
下写真は、摘出後の腫瘍です。
腫瘍を全摘出後の患部です。
皮膚欠損は広範囲に及びます。
患部の縫合後の皮膚緊張が大きくなることから、ステンレスワイヤーで縫合しました。
下写真をご覧いただけるとステンレスワイヤー縫合でも、皮膚が緊張しているのがお分かり頂けると思います。
麻酔覚醒直後のパン君です。
麻酔覚醒して10分と経たない状況でパン君はチモシーを食べ始めています。
10歳とはいえ、基礎体力と気力によるところが大きいですね。
パン君は術後の経過も良好で、2日後に退院していただきました。
10日後に抜糸のため来院されたパン君です。
傷口もいい感じで治っているようです。
抜糸させて頂きました。
線維腫の場合、皮膚広範囲に及ぶ浸潤も珍しくありません。
ウサギは、もともと体表面積が小さい動物ですから、皮膚腫瘍は術後の皮膚癒合が一番問題となります。
今回はストレス軽減のため、パン君はエリザベスカラーの装着はしてませんので、術後自咬による患部の傷が開かないのを祈念します。
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2013年10月23日 水曜日
ウサギの精巣腫瘍(その2)
ウサギの精巣腫瘍については、以前コメントさせて頂きました。
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ウサギの精巣腫瘍はセルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と3つの分類されます。
セルトリ細胞腫とセミノーマは悪性腫瘍とされ、ライディッヒ細胞腫は良性腫瘍に分類されています。
発生率はライディッヒ細胞腫が多いようです。
以前コメントしたケース事例では、精巣がかなり大きくなっており排便・排尿時に障害となり、肛門周辺が汚れて不衛生となっていました。
このようなケースでは、夏場では陰部・肛門周辺にハエが卵を産み付けてハエウジ症になることもあります。
したがって、精巣腫瘍が疑われるケースでは、早期摘出をお勧めしている次第です。
Mixウサギのまろん君(6歳9か月、雄)は、精巣の大きさが左側だけ大きくなってきた(黄色丸)とのことで来院されました。
腫瘍の可能性が高いことと、精巣が大きくなってから肛門周辺の衛生管理が大変になることを飼主様にお伝えしました。
結局、早速外科的に摘出をすることとしました。
去勢は15分くらいで終了する手術です。
まろん君は、術前の血液検査で問題なしと出ていましたので、麻酔前投薬はなしでそのままガス麻酔で導入・維持します。
精巣を覆っている総鞘膜という膜を切開したのが下写真です。
腫瘍の転移を考慮して、総鞘膜ごと摘出しました。
患部を縫合して終了です。
摘出した精巣は病理検査結果、間細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と判明しました。
良性の腫瘍ということで、とりあえず良かったです。
10歳以上の高齢ウサギで、この精巣腫瘍となる事例は手術のリスク(特に麻酔)を考慮しなければなりません。
精巣が少しでも大きくなってきたな、と感じられたら最寄りの動物病院の受診をお勧めします。
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ウサギの精巣腫瘍はセルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と3つの分類されます。
セルトリ細胞腫とセミノーマは悪性腫瘍とされ、ライディッヒ細胞腫は良性腫瘍に分類されています。
発生率はライディッヒ細胞腫が多いようです。
以前コメントしたケース事例では、精巣がかなり大きくなっており排便・排尿時に障害となり、肛門周辺が汚れて不衛生となっていました。
このようなケースでは、夏場では陰部・肛門周辺にハエが卵を産み付けてハエウジ症になることもあります。
したがって、精巣腫瘍が疑われるケースでは、早期摘出をお勧めしている次第です。
Mixウサギのまろん君(6歳9か月、雄)は、精巣の大きさが左側だけ大きくなってきた(黄色丸)とのことで来院されました。
腫瘍の可能性が高いことと、精巣が大きくなってから肛門周辺の衛生管理が大変になることを飼主様にお伝えしました。
結局、早速外科的に摘出をすることとしました。
去勢は15分くらいで終了する手術です。
まろん君は、術前の血液検査で問題なしと出ていましたので、麻酔前投薬はなしでそのままガス麻酔で導入・維持します。
精巣を覆っている総鞘膜という膜を切開したのが下写真です。
腫瘍の転移を考慮して、総鞘膜ごと摘出しました。
患部を縫合して終了です。
摘出した精巣は病理検査結果、間細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と判明しました。
良性の腫瘍ということで、とりあえず良かったです。
10歳以上の高齢ウサギで、この精巣腫瘍となる事例は手術のリスク(特に麻酔)を考慮しなければなりません。
精巣が少しでも大きくなってきたな、と感じられたら最寄りの動物病院の受診をお勧めします。
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2013年10月21日 月曜日
ウサギの毛芽腫(その2)
ウサギの毛芽腫は発生頻度も高く、短期間で大きくなる傾向のある腫瘍です。
以前、この毛芽腫については詳細をコメントしましたので、興味のある方はこちらをクリックして下さい。
毛芽腫は皮膚の色んな箇所に発生します。
しかも周囲の皮膚から独立してキノコの様に出現するので、個人的に愛着のある腫瘍です。
毛芽腫は良性腫瘍なんですが、場所によっては床面はじめとした飼育環境との干渉で、ちぎれたり出血を繰り返すので外科的に切除することをお勧めしています。
今回ご紹介させて頂きますのは、うさこちゃん(5歳、雌)です。
右胸側面に親指位のできものがあるとのことで来院されました(下写真黄色丸)。
見た目も毛芽腫、そのものなんですが細胞診して確認した後、外科的切除を実施することとなりました。
ガスマスクをかけて全身麻酔をします。
患部を綺麗に消毒します。
メスを入れた後は、腫瘍に栄養を送る栄養血管を電気メスで凝固させて離断します。
摘出した腫瘍です。
腫瘍をスタンプ染色しました。
下写真の真ん中に存在している紫に染まった細胞群が毛芽腫細胞です。
ウサギ以外の動物ではこの毛芽腫は悪性腫瘍の仲間に属しています。
この毛芽腫は基底細胞腫とも呼ばれています。
ただこの腫瘍の起源が表皮の基底細胞ではなく、発生初期の毛芽に近いとのことで現在では毛芽腫と呼ぶことの方が多いようです。
うさこちゃんの麻酔の覚醒も速やかでスムーズに手術は完了しました。
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毛芽腫は良性腫瘍なんですが、場所によっては床面はじめとした飼育環境との干渉で、ちぎれたり出血を繰り返すので外科的に切除することをお勧めしています。
今回ご紹介させて頂きますのは、うさこちゃん(5歳、雌)です。
右胸側面に親指位のできものがあるとのことで来院されました(下写真黄色丸)。
見た目も毛芽腫、そのものなんですが細胞診して確認した後、外科的切除を実施することとなりました。
ガスマスクをかけて全身麻酔をします。
患部を綺麗に消毒します。
メスを入れた後は、腫瘍に栄養を送る栄養血管を電気メスで凝固させて離断します。
摘出した腫瘍です。
腫瘍をスタンプ染色しました。
下写真の真ん中に存在している紫に染まった細胞群が毛芽腫細胞です。
ウサギ以外の動物ではこの毛芽腫は悪性腫瘍の仲間に属しています。
この毛芽腫は基底細胞腫とも呼ばれています。
ただこの腫瘍の起源が表皮の基底細胞ではなく、発生初期の毛芽に近いとのことで現在では毛芽腫と呼ぶことの方が多いようです。
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