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水棲カメの疾病

2013年7月28日 日曜日

アカミミガメの中耳炎

カメは皮膚の細菌感染があると皮下に膿瘍を生じることが多いです。

今回、ご紹介しますのは京都からはるばる来院されましたアカミミガメのカメさんです。


カメさんは左眼のすぐ横あたりの皮膚がはれて白くなったとのことで受診されました。

患部がお分かり頂けるでしょうか?



下写真の黄色丸の部分が病変部です。



ここは解剖学的にカメのどこに当たるかといいますと、黄色丸の奥にあたる部分が中耳になります。

個体によっては、この鼓膜部が赤くなったり、腫れたりします。

今回のカメさんの場合は、完全に腫れて鼓膜部が膨隆していました。

中耳炎を起こして、その結果中耳内に膿が貯留してしまったというわけです。

爬虫類の膿瘍は基本的にチーズ様に塊として患部を塞いでしまいますので、外科的に摘出する必要があります。

早速、患部を注射針で穿刺して膿を摘出することとしました。



患部を穿刺して、鉗子で圧迫しますとチーズ様の膿(黄色矢印)が出て来ました。





さらに深部を2本の鉗子を使用して、軽く圧迫を加え膿を排出します。

硬度を伴った膿が奥から出て来ました。



穿刺した鼓膜部に消毒洗浄を行います。



下写真黄色矢印は穿刺した患部です。

しばらくは、抗生剤を投薬してもらいます。

患部は解放創のままで縫合する必要はなく、完治します。



乾酪化した壊死細胞や炎症細胞から成るチーズ様物質です。

カメさんの小さな体からすれば、結構大きな膿ですね。



中耳炎の原因としては、細菌が口腔と通じる管(耳管)から中耳に入り込み起こります。

湿度が高く、不衛生な環境で中耳炎は起こりやすいとされます。

夏真っ盛りの今、水槽内の環境衛生には十分気を付けて下さい。

カメさん、京都からご来院お疲れ様でした。

お大事にしてください。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年4月24日 水曜日

ミドリガメの咬傷

ミシシッピ・アカミミガメ、別名ミドリガメの咬傷についてコメントします。

ミドリガメの元気君(性別不明、年齢不明)は、水槽から脱走して一晩、行方不明となりました。



翌日、庭で発見された時には右後肢がだらんとしていて、力が入らない状態でした。

患部を診ますと大きく穴が開いています。

下写真の黄色矢印がお腹側です。



この皮膚欠損部から内面を診ますとまず大腿部の筋肉が寸断されています。

腹膜が破れて、内臓が垣間見えています。

幸い内臓の損傷はないと思われます。

おそらく猫や齧歯類に襲われ、咬まれたものと推察されます。

腹腔内の出血は見た限りはなく、筋肉側の出血を若干認めるのみです。

ただ元気君自身は、ショック状態にあり眼は虚ろでぐったりしています。

大腿部筋肉損傷時に出血量が多かったのではないでしょうか。

まずは患部を洗浄消毒します。





皮膚欠損部を縫合します。





患部を細かく縫合して終了です。

問題は水棲カメのため、患部はどうしても雑菌に侵されてしまいます。

あとは、抗生剤を投薬して回復を待つのみです。






カメは今回のような咬傷や高所からの落下による外傷が多いです。

自分の経験では、ある程度の年齢に達すると比較的出血には強い感がありますが、幼体には厳しいです。

残念ながら、元気君は翌日お亡くなりになられたとの電話がありました。

力及ばず、残念です。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年2月14日 木曜日

ハラガケガメの口腔内異物(ちょっと狂暴!)

この1週間、大きな手術に追われてブログの更新ができずにいました。

頑張って、新作を載せていきますのでよろしくお願いします。



皆様、ハラガケガメなるカメをご存じでしょうか?

このカメは、ガテマラやメキシコに分布する爬虫綱カメ目ドロガメ科ハラガケガメ属に分類されています。

カメは様々な種類が存在しますが、ワニガメに代表される凶暴なカメの仲間とイメージして頂ければいいかと思います。

体長が最大でも18cmと比較的小型のカメですが、攻撃性は一級品で肉食性です。

本日、ご紹介するのは、そのハラガケガメ君(雄)です。

砂利を咬み、それが口蓋の嘴に付け根のくぼみに挟まり、取れなくなり元気消失、食欲減退とのことで来院されました。



非常に怒って口を開けて威嚇しています。

不注意で咬まれたら、指の損傷は甚大でしょうね。



上部口蓋をよくご覧いただきますと黒い小さな石が挟まって食い込んでいるのがお分かり頂けると思います。(下写真黄色矢印)



早速、鉗子で取ろうとするのですが、鉗子ですら咬んで破壊しようとするくらい怒っています。



簡単そうに見えると思いますが、実はかなり力を込めて開口させようとしています。

この咬筋の力はただものではありません。

幼体でこの力ですから、成体ではちょっと怖いですね。





かなり強い力で咬んだようで、鉗子の先がたわむくらい力を込めると、なんとか小石がグラつき始めました。



やっと小石を取ることが出来ました。



痛みの元が取れて、ちょっとだけすっきりしたハラガケガメ君でした。





ハラガケガメ君は診察中はずっと口を開けて怒っていましたので、口を閉じたところを写真に次回は収めさせて頂きたく思います。

お疲れ様でした。



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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年1月12日 土曜日

ゼニガメのペニス脱

本日ご紹介しますのは、カメのペニス脱です。

以前、当院ホームページにウスタレカメレオンのヘミペニス脱を載せたことがあります。

哺乳類のペニスは排尿用と生殖用の2種類の用途で機能します。

一方、爬虫類のペニスは生殖用のためだけに存在します。

このペニスをヘミペニスと呼称しています。

ゼニガメのジュニア君は突然、このペニスが脱出して戻らなくなり、元気食欲の喪失で来院されました。



ニホンイシガメとクサガメの幼体は、総称してゼニガメと呼ばれています。

どちらかというと慣用的な呼称と言えるかもしれません。

現在、ペットショップで販売されているゼニガメの殆どがクサガメの幼体だそうです。

ジュニア君はクサガメの幼体です。

下写真の黄色丸の中に認められる物体がペニスです。





黒いお餅のようですがこの裏側に2つに分かれたペニスが認められます。

それが下写真になります。

黄色矢印で示した部分がペニスでその中心部(赤矢印)に溝があり、そこから精液を放出します。



脱出したペニスが長時間経過している場合は、もとに戻すことはかなり難しいと言えます。

カメを初めとして、爬虫類は総排泄腔と呼ばれるおしりの穴が一つしかありません。

この総排泄腔から便、尿、卵が出てきます。

体内の直腸・尿管・卵管などは最終的な出口である総排泄腔の手前で合流するように出来ています。

綿棒を用いて、ペニスを総排泄腔である矢印方向へ優しく戻していきます。









爬虫類のペニス脱はかなり難しいケースが多く、哺乳類のそれと比較して苦労します。

今回は、何とか無事ペニスを戻すことが出来ました(黄色丸)。





腹圧をかけて排便をすると、再脱出のおそれもあると考えて鳥の卵管脱の処置と同じ処置を実施することにしました。

つまり総排泄腔の端寄りに縫合糸を1針かけて、ペニスの脱出を防ぎます。







写真がピンボケで申し訳ありませんが、総排泄腔の端を少し縫合して絞ることで脱出を防ぎます。

数日経過を見て、この縫合糸はカットして再脱出が認められなければ治療は終了です。

カメのペニス脱が起こる原因ですが、まず一番多いのが発情が必要以上に続いてなるケース(持続発情)です。

他には、飼育環境が不完全であったり、食餌の栄養バランスが偏ったり等の条件が重なって起こります。

ジュニア君の場合、持続発情プラス脱出したペニスが、水槽内のフィルター濾過機の取水口に長時間吸い込まれていたことが原因のようです。



いずれにせよ、以上のような処置を実施してもペニスの整復が不可能な場合、ペニスを離断することとなります。

これは、先に挙げたウスタレカメレオンのヘミペニス脱に載せたとおりです。

カメを飼育されている飼主様、ペニス脱が認められましたら速やかに病院にお連れ下さいね!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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