目・耳の疾患/犬
2013年6月12日 水曜日
犬の外耳炎
梅雨に入り、ジメジメした日が続いています。
皆様のペット君達はお変わりありませんか?
最近のブログはエキゾチック系ばかりでどうなの?というお声もあり、犬の疾病のご紹介をさせて頂きます。
当院では、この1~2週間外耳炎の外来が急増しています。
恐らくは、この梅雨も関連していると思われます。
今回ご紹介する外耳炎ですが、日常診療では最もポピュラーな耳科疾患です。
外耳炎は、外耳道内に耳垢がたまり変質して、外耳道壁に刺激を与えたり、湿潤な耳垢に細菌が繁殖して二次感染をした結果、発症するとされています。
下写真のチワワ君は耳を痒がって、やたら頭を振る、耳の中が臭いとの理由で来院されました。
耳の中を診てみますと、下写真の様に耳介内が赤く腫れあがっており、耳の中からは耳だれが出ているのがお分かり頂けると思います。
耳に鼻を近づけると独特な腐敗臭を感じます。
さらに検耳鏡で外耳道内を診ますと、外耳道壁が腫れあがって耳の穴が閉塞しています。
話は変わってコーギー君ですが、先のチワワ君同様に耳の中を気にしての来院です。
既に耳の中は耳だれで充満しており、外耳道内からは耳だれが断続的に出てきています。
耳介部を綺麗に洗浄すると下の写真のように耳の入り口付近は、自身で引掻いて真っ赤に腫れあがっています。
先に外耳炎の原因を述べましたが、細菌以外にもマラセチアやミミヒゼンダニ、アレルギー性皮膚炎が関与しているケースもあります。
本日のこの2件は、耳垢をスライドガラス上に塗沫して染色・鏡見したところ、グラム陰性の細菌が多数認められました。
検耳鏡で鼓膜の破裂はありませんでした。
細菌性外耳炎ということで、外耳道内を刺激性の低い洗浄液で丹念に洗い、抗生剤の点耳薬を投薬しました。
ご自宅でも耳洗浄と点耳薬投与を続けていただく必要があります。
完治までに数週間要する場合も普通にあります。
外耳炎は何度も再発を繰り返す疾病です。
日常的に当院では耳掃除を励行しています。
耳垢を溜めこまないように定期的に耳洗浄を実施させて頂きます。
それだけでも外耳炎を予防することは可能です。
外耳炎を甘く見てますと、鼓膜が破れ中耳炎になり、最後には内耳炎に至ります。
内耳は平衡感覚を司っていますので、内耳炎になりますと斜頸、先回運動、顔面神経麻痺、運動失調等の症状が出ます。
健常な日常生活が送れなくなりますので、くれぐれも耳にご注意を!
まずは愛犬が耳を頻繁に引掻く、頭を振る、耳から臭い匂いがするという条件が重なったら、外耳炎になっているかもしれませんよ。
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2012年5月 1日 火曜日
犬の耳血腫
耳血腫とは耳介部に血液が貯留して腫脹する疾患を指します。
耳介内部で出血が生じる何らかの原因があり、この疾患は起こります。
例えば、外耳炎やミミヒゼンダニの感染があって頭を振ったり、足で耳を搔きむしったりしての物理的外力が耳介部に加わって、生じるとされています。
一旦、耳血腫になって放置しておくと耳介軟骨が委縮し、耳はカリフラワー状に変形します。
こうなると元の耳介に戻すことは残念ながら無理です。
したがって、耳介の外観維持のために外科的手術で治療が行われます。
当院で実施している耳血腫の手術ですが、簡単にイラストで説明しますと以下の通りです。
今回、ご紹介するのは数週間前から耳血腫があり、経過を見ていても改善が認められないとのことで来院されたダルメシアン君です。
パンチで孔をあけて貯留している血液を外に流します。
上の写真はパンチ孔を作り、縫合糸を耳介内側から外側に向け貫通して、マットレス縫合をするところです。
耳を立てるため、耳介の内側面にガーゼを芯にして粘着テープで固定します。
耳血腫は血腫の大きさや耳介軟骨の損傷の程度により、その処置も異なる場合があります。
軽度の耳血腫であれば、血腫部位を針で穿刺して血液を吸引することを繰り返して患部にグルココルチコイドを注入する方法をとることもあります。
最近では血腫部にインターフェロンを注入すると良好な結果が得られたとの報告もあります。
今回のように耳介軟骨の障害が大きなケースは、早めの処置を施さなければ、残念ながら元の耳介の外観に回復することは不可能です。
ケースバイケースですが、外科手術が必要な場合ならば術後の手術部位の保護(バンテージ)が重要で、まめに交換の必要もあり、通院も含めれば1~1.5か月は必要です。
耳介内部で出血が生じる何らかの原因があり、この疾患は起こります。
例えば、外耳炎やミミヒゼンダニの感染があって頭を振ったり、足で耳を搔きむしったりしての物理的外力が耳介部に加わって、生じるとされています。
一旦、耳血腫になって放置しておくと耳介軟骨が委縮し、耳はカリフラワー状に変形します。
こうなると元の耳介に戻すことは残念ながら無理です。
したがって、耳介の外観維持のために外科的手術で治療が行われます。
当院で実施している耳血腫の手術ですが、簡単にイラストで説明しますと以下の通りです。
上のイラストにありますように耳介軟骨層間に出血があり、血腫が作られます。
血腫にバイオプシー用のパンチを用いて穴をあけます。
パンチした孔から血腫を廃液し、洗浄します。
耳介軟骨同士を縫合して、血腫腔を密着させます。
最終的に下のイラストのようにパンチ孔を作成します。
今回、ご紹介するのは数週間前から耳血腫があり、経過を見ていても改善が認められないとのことで来院されたダルメシアン君です。
パンチで孔をあけて貯留している血液を外に流します。
上の写真はパンチ孔を作り、縫合糸を耳介内側から外側に向け貫通して、マットレス縫合をするところです。
耳を立てるため、耳介の内側面にガーゼを芯にして粘着テープで固定します。
耳血腫は血腫の大きさや耳介軟骨の損傷の程度により、その処置も異なる場合があります。
軽度の耳血腫であれば、血腫部位を針で穿刺して血液を吸引することを繰り返して患部にグルココルチコイドを注入する方法をとることもあります。
最近では血腫部にインターフェロンを注入すると良好な結果が得られたとの報告もあります。
今回のように耳介軟骨の障害が大きなケースは、早めの処置を施さなければ、残念ながら元の耳介の外観に回復することは不可能です。
ケースバイケースですが、外科手術が必要な場合ならば術後の手術部位の保護(バンテージ)が重要で、まめに交換の必要もあり、通院も含めれば1~1.5か月は必要です。
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2011年10月10日 月曜日
犬の白内障
今回は加齢とともに発症率が高い白内障についてコメントさせていただきます。
最近特に、眼が白く感じるといって来院される患者様が多いように感じます。
早くに見つければ内科的治療で、ある程度の進行を遅らせることが出来ます。
白内障の原因は未だ明らかになっていません。
先天性のものと後天性のものがあります。
特に後天性の白内障には老齢性、糖尿病性、内分泌性、外傷性、中毒性などがあり、そのほか遺伝によって6歳以前に見られる若年性のものもあります。
眼球の中のレンズ(水晶体)は65%の水分と35%の蛋白を含んでおり、この蛋白が何らかの原因で変性を生じてレンズの透明性が維持できなくなり、最終的に濁りが生じます。この状態を白内障と呼びます。
白内障は病状と症状により以下に分類されます。
1:初発期 水晶体の一部に混濁の始まる時期で視力は正常。
2:未熟期 混濁は水晶体のほとんどに広がり、光を当てると水晶体がグレーから白くなってみえます。
この時期に緑内障を併発することもあります。
3:成熟期 水晶体全体が完全に混濁し、不透明で固くなり全盲になります。
4:加熱期 水晶体が硬化乾燥し、水晶体が脱臼します。
以上に上げた病期、特に初発期に愛犬の症状に気付かれる飼い主様は非常に少ないです。
犬は一部の犬種を除いて、基本的に視力は弱く、優れた嗅覚と聴覚でカバーしています。
よほど注意深く気をつけて見ていないと眼の異常は見落としてしまいます。
下の写真は白内障成熟期のラブラドル・レトリバーおよびミニチュア・ダックスです。
白内障の治療は内科的療法(薬物治療)と外科的療法とあります。
内科的療法は、現在のところ特効薬といえる薬はありません。
一旦、水晶体が混濁すると吸収されることは少なく、思いのほか薬物療法の効果は期待できません。
外科的治療で水晶体を摘出する方法や超音波で水晶体核を粉砕して吸い出す超音波白内障乳化吸引法などがあります。
手術後の視力は正常より低くなりますが、視覚的には何ら問題なく生活できます。
外科手術はコストが非常にかかる点から、ヒトのように広く普及はしていません。
いずれにせよ、老齢性白内障や遺伝性白内障については予防法はありません。
水晶体に濁りを見つけたら、速やかに動物病院を受診してください。
早期発見により、薬物療法で白内障の進行を遅らせることは可能です。
最近特に、眼が白く感じるといって来院される患者様が多いように感じます。
早くに見つければ内科的治療で、ある程度の進行を遅らせることが出来ます。
白内障の原因は未だ明らかになっていません。
先天性のものと後天性のものがあります。
特に後天性の白内障には老齢性、糖尿病性、内分泌性、外傷性、中毒性などがあり、そのほか遺伝によって6歳以前に見られる若年性のものもあります。
眼球の中のレンズ(水晶体)は65%の水分と35%の蛋白を含んでおり、この蛋白が何らかの原因で変性を生じてレンズの透明性が維持できなくなり、最終的に濁りが生じます。この状態を白内障と呼びます。
白内障は病状と症状により以下に分類されます。
1:初発期 水晶体の一部に混濁の始まる時期で視力は正常。
2:未熟期 混濁は水晶体のほとんどに広がり、光を当てると水晶体がグレーから白くなってみえます。
この時期に緑内障を併発することもあります。
3:成熟期 水晶体全体が完全に混濁し、不透明で固くなり全盲になります。
4:加熱期 水晶体が硬化乾燥し、水晶体が脱臼します。
以上に上げた病期、特に初発期に愛犬の症状に気付かれる飼い主様は非常に少ないです。
犬は一部の犬種を除いて、基本的に視力は弱く、優れた嗅覚と聴覚でカバーしています。
よほど注意深く気をつけて見ていないと眼の異常は見落としてしまいます。
下の写真は白内障成熟期のラブラドル・レトリバーおよびミニチュア・ダックスです。
白内障の治療は内科的療法(薬物治療)と外科的療法とあります。
内科的療法は、現在のところ特効薬といえる薬はありません。
一旦、水晶体が混濁すると吸収されることは少なく、思いのほか薬物療法の効果は期待できません。
外科的治療で水晶体を摘出する方法や超音波で水晶体核を粉砕して吸い出す超音波白内障乳化吸引法などがあります。
手術後の視力は正常より低くなりますが、視覚的には何ら問題なく生活できます。
外科手術はコストが非常にかかる点から、ヒトのように広く普及はしていません。
いずれにせよ、老齢性白内障や遺伝性白内障については予防法はありません。
水晶体に濁りを見つけたら、速やかに動物病院を受診してください。
早期発見により、薬物療法で白内障の進行を遅らせることは可能です。
投稿者 もねペットクリニック | 記事URL