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目・耳の疾患/犬

2014年6月 3日 火曜日

犬の乾性角結膜炎(KCS)


こんにちは。

院長の伊藤です。


本日ご紹介しますのは、犬の乾性角結膜炎(KCS、ドライ・アイ)です。

乾性角結膜炎とは、涙液の量的・質的の異常で角結膜の上皮が障害された状態を指していいます。

量的異常は、涙腺における涙液の産生量が低下した状態で免疫介在性の涙腺炎が原因とされます。

質的異常は、涙液量は正常ですが、涙液内の油分やムチン成分が異常で涙液が、眼表面で安定せず蒸発してしまうものです。

症状としては、結膜充血・角膜充血、潰瘍・膿性の眼脂・瞼の痙攣などが認められます。



ペキニーズのルピー君(13歳、去勢済)は1年ほど前より、眼が赤く痒がるとのことで来院されました。



ルピー君の眼球を診ますと角膜の光沢がなく、角膜の表在性炎症及び結膜炎も認められます。

眼脂がひどく、絶えず眼は眼脂で黄色く汚れています。

下にルピー君の眼球の拡大を載せます。

ちょっとピンボケで申し訳ありません。



ルピー君の眼球は乾燥しており、涙の流量が少ないようです。

そこで、涙の流量をチェックするためにシルマー試験を実施しました。

シルマー試薬を含む短冊状のろ紙を下瞼に挟んで、一分間あたりの涙のろ紙に染み込んでいく距離で涙量を判定する試験です。

下写真は左眼のシルマー試験です。

左眼は毎分5mmの目印に届くかなと言う成績でした。



右眼は下写真のように5mmは何とか超えるかなと言う感じです。



ルピー君のシルマー試験は左眼が5㎜、右眼が8㎜という結果です。



シルマー試験の判定は以下の通りです。

重度の乾性角結膜炎陽性は5㎜/分以下

軽度から中等度の乾性角結膜炎は6~10㎜/分

初期の乾性角結膜炎は11~14㎜/分

正常は15㎜以上

ルピー君は左が重度角結膜炎、右が中等度の角結膜炎と評価されます。

加えてルピー君は角膜損傷も認められました。



治療法ですが、ルピー君は明らかに涙液産生量が少ないため、免疫抑制作用のあるシクロスポリン製剤(眼軟膏)を点眼します。

シクロスポリンにより涙液分泌機能を刺激させるのが狙いです。

さらに抗生剤点眼薬や人工涙液を点眼して頂き、経過を診ていきます。

眼を痒がって自分でこするようなら、エリザベスカラーを装着が必要な場合もあります。

乾性角結膜炎は一度発症しますと長期間にわたる管理が必要となります。





ルピー君、点眼治療で快適に過ごせるよう頑張りましょう!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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