犬の育て方・病気猫の育て方・病気哺乳類の育て方・病気両生類の育て方・病気
  • home
  • スタッフ
  • 医院紹介
  • アクセス・診療時間
  • 初めての方へ
  • HOTEL
 

カメレオンの疾病

パンサーカメレオンの代謝性骨疾患

パンサーカメレオンのアオ君は、はるばる静岡県から来院されました。

左下顎が腫れあがり、食餌もしっかり食べられなくなったとのこと。

静岡の動物病院でマウスロットであろうとことで、抗生剤の投薬と口腔内の消毒を受けていたとのこと。

それでも症状はあまり改善されないようです。



アオ君はノシベというブルーの綺麗な体色をしています。

本来、カメレオンは開口をしたままでいることは少ないと思われますが、アオ君はあたかも怒ったように口を開けています。

下写真をご覧いただきますと左下顎が腫れており、上下の顎を噛み合わせるのが辛そうです。





以前、グリーンイグアナの代謝性骨疾患を載せたことがありますが、それと似ています。

顎関節が外れているわけではなく、怒って咬みつくことはできます。

ただ顎を咬みあわせるときに間違いなく疼痛があるようです。

この代謝性骨疾患(MBD)は顎の変形を伴うため、口を完全に閉じることが出来ないという特徴があります。

このMBDという疾患の特徴は、先のグリーンイグアナの代謝性骨疾患に詳細を載せましたのでご覧ください。

代謝性骨疾患は食餌中のカルシウム不足、ビタミンD3の過剰・不足、ミネラル・ビタミンの不足、紫外線の照射不足等などが原因と考えられています。





まずはこのMBDの治療を優先して、加えて抗生剤の投薬も継続させて頂くこととしました。

エキゾチックの場合、自力で食餌がとれなくなると衰弱が早いです。

ある程度、飼主様からの強制給餌が必要になりますので頑張って頂きたいです。

アオ君のしっかり綺麗に閉じた口元が早く見られますように!





にほんブログ村ランキングにエントリーしています。
 

 
宜しかったら、こちらupwardrightをクリックして頂けると嬉しいです。

投稿者 院長 | 記事URL

カメレオンのフィラリア寄生

フィラリアといえば、犬の心臓へ寄生する代表的な線虫です。

勿論、猫やフェレットへの寄生例も多く知られていますね。

案外、爬虫類にもこのフィラリアが、寄生しているということをご存じない方が多いようです。

今回は、カメレオンのフィラリア寄生についてコメントさせて頂きます。

数年前になりますが、カメレオン飼育販売で全国的に有名なショップ店長さんとカメレオンの採血をして、フィラリア寄生の実態調査したことがあります。




顕微鏡の低倍率での血液塗沫標本ですが、青く染まった糸くずのような、蛇のようなものの存在がお分かり頂けると思います。

これがフィラリアの仔虫、いわゆるミクロフィラリアです。

高倍率で拡大したのが下写真(黄色矢印がミクロフィラリア)です。



どの個体もどうやら多数のミクロフィラリアの感染が認められました。

野生の個体は、ほとんどが感染していると言われています。

実はこのミクロフィラリアは血液中に存在して、脱皮を繰り返し、成虫になっていきます。

その過程で、体のいろいろな部位を移動していきます。

カメレオンの心臓内にフィラリアが寄生して、重篤な症状を呈したという症例には今のところ、遭遇していません。

それでも、フィラリアの成虫ではカメレオンの皮下を走行するケース(皮下迷入)は一般的にあります。

皮下寄生以外にも消化管内に迷入しているケースもあります。

下の写真はパンサーカメレオン君で皮下にフィラリアが寄生して移動しているのがわかるということで来院されました。







皮下寄生が大量であれば、皮下に小切開を加えて物理的に摘出することも多いです。

できれば血液検査を実施して、ミクロフィラリアの存在を確認した上で駆虫処置をするか否か決めていきたいと考えています。

駆虫薬にしても慎重に投薬しないとショック症状を引き起こすこともあります。

国内繁殖個体ではどの程度の寄生があるのか、正直よくわかりません。

フィラリアが寄生しているからといって、イヌの様に確実に駆虫が成功するまで綿密な駆虫スケジュールを立てて対応すべきなのかもまだ明確な指針が出来ていません。

カメレオンに限らず、特に野生由来の爬虫類はいろんな寄生虫を持っており、当然病原性を持つケースもあれば、宿主と寄生虫が共生関係にあるケースもあります。

徹底したフィラリア駆虫が、どの個体にも必要なのか否か、今後の課題だと思っています。



にほんブログ村ランキングにエントリーしています。
 

 
宜しかったら、こちらupwardrightをクリックして頂けると励みになります。
 

投稿者 院長 | 記事URL

爬虫類の脱水症状について


最近、特に栄養不良・脱水状態の爬虫類を診察することが多いです。

初めて爬虫類を飼育される飼主様に多いのですが、栄養状態や脱水症状の確認がよくわからないと質問を受けます。

本日は、全身の栄養状態が良くなく、脱水を起こしている2例についてコメントいたします。

まず1例目はエボシカメレオン君です。



食欲がなく水もしっかり飲めていないようで衰弱が著しいです。

立ち上がることも辛そうです。



黄色矢印で示しましたカメレオンで言う所の瞼のくぼみの部分にご注意ください。

この部分が著しく窪んでいるとそれは脱水を示します。

当院HPのカメレオンの疾病に登場する他のカメレオン君達と比較して頂けるとお分かりになると思います。





残念ながら、小型の爬虫類では点滴が出来ませんので、皮下輸液を実施します。

加えて動物性蛋白質を含んだ流動食を経口投与します。


次はフタアゴヒゲトカゲ君です。

先のエボシカメレオン君以上に全身状態が不良です。

体色も色あせています。



赤丸で示した瞼周辺の窪みが脱水の程度を表します。

瞼を開けることも辛そうです。



加えて全身の脱水状態です。

犬猫であれば背中の皮膚を真上方向に引っ張って、離してどれくらいの速さで皮膚が戻るかで脱水の状態を評価します。

爬虫類はその評価は難しく、むしろ皮膚の乾燥の状態や皮膚の弾力性(皮膚の突起物を含めた)・体色で評価しています。

下写真で赤矢印で示したように肋骨が浮き出るくらいに削痩しています。

高度の栄養不良です。



拒食のためお腹と背中が引っ付くくらいに細くなっています。



このように衰弱が著しくなりますと、先のカメレオン同様治療が難しくなります。

もともと変温動物である爬虫類は、哺乳類に比べて基礎代謝が緩やかです。

したがって、投薬をしても速攻で効くという印象は薄いです。

栄養状態が不良でも一挙に高度栄養不良に至るというよりは、じわじわと水面下で進行するタイプが多いようです。

またもうダメかなと思えるようなケースでも、1週間全くの絶食に耐える個体もいます。


まずは、餌の食いが悪いと感じたら必ず何が原因で拒食に至っているか確認が必要です。

そのまま様子を見ようとすると、今回のようにかなり厳しい状態に追い込まれてしまいます。

少食の爬虫類ほど病気がらみの拒食なのか、飼育環境の不備による拒食なのかを判別するのには苦労します。

ちょっとでも気になることがあれば、爬虫類を診ていただける獣医師にご相談ください。



にほんブログ村にエントリーしています。
 

 
宜しかったら、こちらupwardrightをクリックして頂けると励みになります。
 

投稿者 院長 | 記事URL

ウスタレカメレオンのヘミペニス脱

哺乳類のペニスは、排尿と生殖機能を兼用しています。

一方、爬虫類のペニスはヘミペニスと呼ばれ、生殖機能のみを果たします。

排尿は総排泄口から糞と一緒に排出されます。

カメレオンを飼育する上で、以前ご紹介しました直腸脱以外にヘミペニス脱という疾患があります。

直腸脱と異なり、このヘミペニス脱は所定の場所に完納することが難しく、苦労することが多いです。

今回ご紹介させて頂きますのは、はるばる三重県からお越しいただきましたウスタレカメレオンのジミー君です。




ウスタレカメレオンは別名ジャイアントカメレオンとも呼ばれ、世界最長のカメレオンです。

最長80㎝くらいまで体長が達する個体もいるそうです。

そんなジミー君ですが、数日前からヘミペニスが脱出して戻らなくなったとのことで来院されました。





黄色丸で囲んだ部分が脱出したヘミペニスです。

実はこのヘミペニス、カメレオンは左右に1本づつあります。

今回脱出しているのは左側のヘミペニスとなります。

下写真の黄色矢印と青矢印で示す箇所にヘミペニスが1本づつ出てくるとイメージして下さい。



脱出したヘミペニスを戻そうと懸命に努力をいたしましたが、ヘミペニスを傷つけるばかりで戻すことが出来ません。



このまま脱出した状態が続きますと、ヘミペニスは重度の浮腫となり、最悪壊死し始めます。

樹上で生活するので、樹皮に患部をこすり付けて感染症になる可能性も大きいです。

飼い主様ともよくよく話し合い、この脱出したヘミペニスを切除することにしました。

左側ヘミペニスを切除しても右側が残ってますから繁殖には支障はありません。



生殖器なので当然血流も多く流れています。

最小限の流血で留めるために電気メスでカット・凝固を繰り返して切除します。









切除したヘミペニスが黄色丸で示しています。



切除したヘミペニスの付け根を縫合して終了です。



加えて、脱出したヘミペニスの反対側(右側)のヘミペニスから下の写真の物体が採れました。

形状はグミのようでもあり、植物のようでもあり不思議な物体です。

皆様、これが何かお分かりになりますか?



実はこれはカメレオンの精子が固まったもので、交尾の際に雌の体内に押し込まれるとそれが原因で死亡するケースもあるそうです。

爬虫類特有のこれらの事象は興味深く、かつ驚かされることがあります。







ジミー君、大変な一日でしたが早く良くなって下さいね。



にほんブログ村にエントリーしています。
 

 
宜しかったらこちらupwardrightをクリックして頂けると嬉しいです。
 

投稿者 院長 | 記事URL

エボシカメレオンの眼病

以前、幼体のエボシカメレオンの紫外線照射による眼球障害を載せました。

今回ご紹介しますのは、成体のエボシカメレオン君です。




幼体と比べて後頭部の突起が立派に成長しているのが分かります。

カメレオンは本当に眼疾患が多く、それも眼球自体よりも眼瞼内の炎症が多いです。



このエボシカメレオン君は左眼(黄色丸)がショボショボして、眼球が外側に向かって突出する傾向があるとのことで来院されました。



早速、眼球の洗浄を実施しました。







しっかり、眼球洗浄の後は点眼薬をつけます。





エボシカメレオン君、早く良くなって下さいね!

カメレオン好きな私としては、エボシカメレオンを皆様に見ていただきたくて、ご紹介させて頂きました。



にほんブログ村にエントリーしています。
 

 
宜しかったら、こちらupwardrightをクリックお願い致します!

投稿者 院長 | 記事URL

カテゴリ一覧

カレンダー

2024年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31