プレーリードッグ・ジリスの疾病
2013年10月25日 金曜日
プレリードッグの真菌症
季節も秋となり、明け方は肌寒くなりましたね。
こんな季節の変わり目は体調を崩される動物が多いです。
免疫力も低下しますので、病原体による感染症にも要注意です。
今回、ご紹介しますのはプレリードッグの真菌症です。
プレーリードッグの大吉君(3歳、雄)は下顎から胸にかけて脱毛が激しいとのことで来院されました。
下写真、黄色丸が脱毛している部位です。
換毛期で脱毛ということもありますが、どうやら局所的な脱毛にとどっまています。
アカラス、疥癬をはじめとした外部寄生虫の可能性は、皮膚掻破検査の結果陰性でした。
内分泌的問題での脱毛であれば、左右対称に脱毛が生じますが左側のみにとどまっています。
最後に皮膚糸状菌の可能性を考えて、真菌の培養検査を実施しました。
その結果、真菌は陽性と判定されました(下写真で培地が黄色から赤に変化しました)。
皮膚糸状菌症は、MicrosporumやTrichophytonが原因となって生じます。
上記の糸状菌の分生子(種みたいなものと思って下さい)が環境中に分散して、これを動物が被毛や皮膚に接触させて感染が成立されます。
症状としては、円形脱毛で始まるケースが犬猫では多いとされます。
プレーリードッグの抗真菌剤(内服薬)の薬用量は犬猫に準じた計算で処方します。
加えてミコナゾールシャンプーや外用抗真菌ローションを用いることで効率的な治療が可能です。
プレーリードッグに安全にシャンプーが出来るかという問題がありますので、当面は内服薬と外用ローションで効果を診ていく予定です。
今や希少種ともいえるプレーリードッグです。
大吉君、真菌症を早く治して、長生きして頂きたく思います。
こんな季節の変わり目は体調を崩される動物が多いです。
免疫力も低下しますので、病原体による感染症にも要注意です。
今回、ご紹介しますのはプレリードッグの真菌症です。
プレーリードッグの大吉君(3歳、雄)は下顎から胸にかけて脱毛が激しいとのことで来院されました。
下写真、黄色丸が脱毛している部位です。
換毛期で脱毛ということもありますが、どうやら局所的な脱毛にとどっまています。
アカラス、疥癬をはじめとした外部寄生虫の可能性は、皮膚掻破検査の結果陰性でした。
内分泌的問題での脱毛であれば、左右対称に脱毛が生じますが左側のみにとどまっています。
最後に皮膚糸状菌の可能性を考えて、真菌の培養検査を実施しました。
その結果、真菌は陽性と判定されました(下写真で培地が黄色から赤に変化しました)。
皮膚糸状菌症は、MicrosporumやTrichophytonが原因となって生じます。
上記の糸状菌の分生子(種みたいなものと思って下さい)が環境中に分散して、これを動物が被毛や皮膚に接触させて感染が成立されます。
症状としては、円形脱毛で始まるケースが犬猫では多いとされます。
プレーリードッグの抗真菌剤(内服薬)の薬用量は犬猫に準じた計算で処方します。
加えてミコナゾールシャンプーや外用抗真菌ローションを用いることで効率的な治療が可能です。
プレーリードッグに安全にシャンプーが出来るかという問題がありますので、当面は内服薬と外用ローションで効果を診ていく予定です。
今や希少種ともいえるプレーリードッグです。
大吉君、真菌症を早く治して、長生きして頂きたく思います。
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2013年10月 1日 火曜日
リチャードソンジリスの扁平上皮癌
リチャードソンジリスを初めとして、オグロプレーリードッグもそうですが、顔面から口腔内の腫瘍の発生率が高いです。
今回、ご紹介しますのはリチャードソンジリスのジル君(雄、3歳)です。
左の口吻部に腫瘤ができて、大きくなっているとのことで来院されました。
体のサイズに比べても大きな腫瘤です。
食餌を取るにもストレスになるだろうと思われます。
まずは細胞診を実施することとしました。
その結果が下写真になります。
結果は扁平上皮癌という結果で、外科的に腫瘍を切除することとなりました。
扁平上皮癌は口の中の粘膜・膀胱の粘膜・副鼻腔・気管支などに発生する悪性の腫瘍です。
患部は潰瘍・びらんという症状で出現することが多いとされます。
最初にガスマスクをかませて、イソフルランを流入させガス麻酔をします。
ふらふらとしたところで、自家製のマスクで維持麻酔をします。
できるだけ腫瘍のマージン(辺縁)を切除します。
しかし、場所が頬になりますので頬袋ごと全摘出は難しいと思われます。
電気メスで切除していきます。
摘出した腫瘍です。
出来る限りのマージンを取って摘出しました。
術後1週間のジル君です。
傷口の経過は良好です。
この口吻部腫瘍の件は、これで落ち着いたのですが、この3か月後に右口腔内に腫瘤が出来、膿瘍も併発してしまいました。
この腫瘤を再度、細胞診したところ、やはり扁平上皮癌とのことでした。
今度の患部の所在が、頬の内側とのことで外科的手術は困難です。
扁平上皮癌に効果があるとされている非ステロイド系COX-2阻害薬のピロキシカムの内服を実施することとしました。
しかしながら、扁平上皮癌の進行が非常に早く、食欲は全く無くなり、飼主様には流動食で対応して頂きました。
それでもピロキシカム内服を始めて、わずか4日目にしてジル君は急逝されました。
非常に残念です。
ジリスにしてもプレーリーにしても扁平上皮癌は進行・転移が非常に早く感じます。
この扁平上皮癌を発症した場合、その後の展開は厳しいものと思います。
今回、ご紹介しますのはリチャードソンジリスのジル君(雄、3歳)です。
左の口吻部に腫瘤ができて、大きくなっているとのことで来院されました。
体のサイズに比べても大きな腫瘤です。
食餌を取るにもストレスになるだろうと思われます。
まずは細胞診を実施することとしました。
その結果が下写真になります。
結果は扁平上皮癌という結果で、外科的に腫瘍を切除することとなりました。
扁平上皮癌は口の中の粘膜・膀胱の粘膜・副鼻腔・気管支などに発生する悪性の腫瘍です。
患部は潰瘍・びらんという症状で出現することが多いとされます。
最初にガスマスクをかませて、イソフルランを流入させガス麻酔をします。
ふらふらとしたところで、自家製のマスクで維持麻酔をします。
できるだけ腫瘍のマージン(辺縁)を切除します。
しかし、場所が頬になりますので頬袋ごと全摘出は難しいと思われます。
電気メスで切除していきます。
摘出した腫瘍です。
出来る限りのマージンを取って摘出しました。
術後1週間のジル君です。
傷口の経過は良好です。
この口吻部腫瘍の件は、これで落ち着いたのですが、この3か月後に右口腔内に腫瘤が出来、膿瘍も併発してしまいました。
この腫瘤を再度、細胞診したところ、やはり扁平上皮癌とのことでした。
今度の患部の所在が、頬の内側とのことで外科的手術は困難です。
扁平上皮癌に効果があるとされている非ステロイド系COX-2阻害薬のピロキシカムの内服を実施することとしました。
しかしながら、扁平上皮癌の進行が非常に早く、食欲は全く無くなり、飼主様には流動食で対応して頂きました。
それでもピロキシカム内服を始めて、わずか4日目にしてジル君は急逝されました。
非常に残念です。
ジリスにしてもプレーリーにしても扁平上皮癌は進行・転移が非常に早く感じます。
この扁平上皮癌を発症した場合、その後の展開は厳しいものと思います。
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