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フクロモモンガの疾病

フクロモモンガの虚脱(ショック状態)

昨日は、爬虫類の脱水症状のコメントをさせていただきました。

本日は、フクロモモンガの虚脱についてご紹介させて頂きます。

爬虫類の脱水症状と同じく、飼主様でどんな状態になったら、病院で診察を受けるべきであるか悩まれている方が多いようです。

本日のフクロモモンガ君にしても、もう少し早くお連れ頂けたら状況が好転したかもしれません。

他にフクロモモンガを飼育されている飼主様のご参考になればと思い、コメントさせて頂きます。

このフクロモモンガ君は、数日前から食欲が全くなく、だんだん元気もなくなってきたとのことで来院されました。





すでに診察した時点で、眼を開けることもできず体を動かすこともままならない状態です。



このフクロモモンガ君はまさにショック状態に陥っています。

簡単に申し上げれば、ショックとは血圧の低下により末梢循環が著しく傷害され、末梢の組織の代謝障害や広範囲の細胞の酸素欠乏症、主要臓器の機能不全をおこした状態をさしていいます。

ショック状態が長時間続きますと組織障害は回復不可能となり、致死的状況となります。

特に脳は酸素欠乏に弱い点から、脳死する可能性も出て来ます。

このフクロモモンガ君は、食欲不振からの飢餓状態、そして低血糖になり、虚脱からショック状態に移行したと考えられます。

特に、このフクロモモンガ君は生後6か月でありながら体が極めて小さく、健康な時から食の細い個体であったそうです。

低血糖・脱水症状及び低体温症になっており、救急処置としてまずこれらの症状の改善に取り組みます。

犬猫ならこんな時は速攻で静脈に留置針を入れてブドウ糖などの点滴を開始しますが、血管の確保が小さい動物なので出来ません。

口から直接、ブドウ糖を強制的に投与します。



すでに上手に嚥下ができない状態なので、誤嚥しないよう注意を払って少しずつ飲ませます。

脱水状態の改善のため、皮下にリンゲル液を輸液し、ショック対策にステロイドの注射をします。



この処置後、インキュベーター内で体を温め、経過を診ることとしました。

一時、自分で動き回るようになり、ホッとしたのもつかの間で、翌日フクロモモンガ君は亡くなられました。

ショック状態を改善することに終始せざる得なかった点が残念です。

恐らく低血糖症からの高度のショックによることが死亡の原因と思います。


フクロモモンガは幼体時の食欲に応じて、体格の個体差が大きい動物です。

これはどのペットにも言えることですが、成長期は十分な栄養を与えて下さい。

それに応じた免疫力もついてきます。

それでも病気に罹患して、最悪ショック状態に陥った場合、バイタルサイン(患者の生きている徴候)をみて飼主さんにご判断頂きたい点があります。

1:意識があるか?  刺激に応じて覚醒するかを確認。

2:呼吸をしているか?  胸郭の上下運動で呼吸の有無を判断して下さい。

3:歯肉の色はピンクか? 貧血や低血圧だと蒼白色。低酸素症だと紫(チアノーゼ)。

4:ピンクの歯肉を指で押して1~2秒でピンクに戻るか? この戻る時間をCRT(末梢血管再充填時間)と言います。
 
 
血圧低下や末梢循環の悪化でCRTは延長します。

最低でも以上の点をチェックして、問題があるようならすぐ病院で受診して下さい。





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