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皮膚の疾患/犬

2012年3月24日 土曜日

犬の肛門嚢摘出手術

以前、犬の肛門嚢炎を犬の疾病に載せたことがありました。

一度、肛門嚢炎を起こしますとお尻の皮膚が破裂して臭腺の臭い分泌液が漏出してきます。

その詳細は犬の肛門嚢炎をご覧ください。

肛門嚢炎・肛門嚢破裂は、患部の洗浄や抗生剤の内服で治ることは治るのですが、また間をあけて再発する症例が多いです。

そうなると飼い主様から、問題となる肛門嚢自体を摘出できないかという要望が出てまいります。

そこで今回、この肛門嚢摘出手術をご紹介します。

ヨークシャーテリアのモコちゃんは、度重なる肛門嚢破裂で、いつもお尻を気にする生活を送っていました。

患部を舐めようとしたり、肛門を床面にこすり付けようとズリズリしたりの毎日です。

排便時にも疼痛があり、常時肛門嚢の分泌液が悪臭を放っています。

モコちゃんの飼い主様より、肛門嚢摘出の依頼を受け、アナルサック・ゲル・キットを使用して手術を実施しました。






このアナルサック・ゲル・キットは、高分子の緑色のゴム状の物質を沸騰水中に入れて熱で溶解させ、ゲル状にして肛門嚢に注入して硬化させた後、肛門嚢を摘出させるというキットです。

下の写真にありますように、沸騰水で軟化したカートリッジのゴムをシリンジに組み込んで注入します。






上の写真でマジックで丸を付けた2か所が、肛門嚢の導管です。

穴が開いているのがわかりますか?

この導管内にシリンジの先端を挿入します。



注入後、数分でゲルは硬化して肛門嚢の所在がクリアになります。



私の手術法では、肛門嚢の上付近にメスを入れ、肛門嚢周辺の結合組織を鈍性剥離して導管の開口部近くを吸収糸で結紮します。




肛門嚢摘出手術は多くが肛門嚢破裂を繰り返す患者が多いですから、肛門嚢とその周囲の結合組織が癒着していることがあります。

うまく外科鋏などで鈍性に剥離できれば良いのですが、肛門嚢を裂いたりすると後の処置が大変です。

このキットを使用することで、熱を持ったゲルの効果で肛門嚢内の毛細血管からの出血を抑え、周辺組織との識別が容易となりました。当然、手術時間も短縮できます。

肛門周辺は血管をはじめ、神経も密に走りこんでいますので肛門周囲の手術は思いのほか、煩雑で苦労することが多いです。

下の写真は左右の肛門嚢を摘出した後、皮膚縫合した写真です。

術野が糞便で汚染されないように肛門に綿花を詰めています。




その後、モコちゃんは肛門嚢に絡む問題もなく、快適に日常生活を送れるようになりました。

肛門嚢自体がありませんので、今後肛門嚢を絞ったりする必要もありません。



肛門のう破裂って大変と思った方は

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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年1月21日 土曜日

犬の毛包虫症(ニキビダニ症)

一般の動物病院の診療で遭遇する疾病は皮膚病が一番多いとされています。

特にしつこくなかなか完治に結び付かない皮膚病の一つに、今回取り上げる毛包虫症があります。
この毛包虫は別名ニキビダニ、あるいはアカラスとも呼ばれています。
芋虫みたいな形状が特徴です。


下の写真が当院でみつけた毛包虫です。後にご紹介する毛包虫症のシーズ君から分離されたものです。




毛包虫は疥癬、ノミと同じ外部寄生虫の仲間です。
疥癬やノミは皮膚に寄生しますと必ず皮膚病を引き起こしますが、この毛包虫は毛穴に潜んでいても平常時は何も皮膚病を引き起こすことはありません。
毛包虫は哺乳類全般に寄生しています。
今回は犬の寄生例をご紹介しますが、ハムスター・シマリス・フェレット・猫等にも寄生例をたくさん経験しています。
当然のことながら、我々人間にも寄生しています。
宿主が健康であっても、その皮膚に少数派寄生しており一般には無症状です。

毛包虫の感染経路は、授乳時に母犬から感染し、その後は同じ子犬の体内で生涯を全うし、通常他の犬へ感染はしません。
感染を受けた犬と長期間同居しても正常犬では、毛包虫症は発症しません。
宿主との共生関係が崩れると毛包虫は過剰に増殖し、毛包虫症を引き起こします。


発症原因は免疫力の低下・遺伝の関与・皮膚の状態・毛包内の細菌叢等が考えられています。
しかし、その病理発生は複雑で十分な解明がされていません。

毛包虫症の症状ですが、病変部の範囲から局所性と全身性に、発症年齢から若年性と成年性に区別されます。

下の写真は9歳のシーズ君ですが、非常に多数の毛包虫が皮膚から検出されました。
全身性(成年性)の毛包虫症です。
全身に及ぶ脱毛、痂皮、皮膚のびらん、潰瘍、滲出性出血等が認められました。





このシーズー君のかゆみは酷く、夜中も満足に寝られないほどでした。

毛包虫症(成年性)の治療は完治させることは難しく、投薬で9割位の成功率です。
治療には平均2~4カ月を要し、場合によっては12カ月かかることもあります。

当院ではイベルメクチンかドラメクチンを皮下注射で週1回、2~8週間続けます。
このシーズー君の6カ月後の症状は、以下の写真の通りです。
痒みも治まり、ストレスからも解放されてます。






ただ成年性の毛包虫症は、疾患や治療による免疫抑制状態が背景にあり、甲状腺機能低下症や副腎機能亢進症、化学療法等が報告されています。これらの疾病を完治しない限りは、また毛包虫症は再発する可能性があります。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2011年9月23日 金曜日

犬の肛門嚢炎

犬の肛門を正面に捉えて4時と8時の方向に肛門嚢と呼ばれる袋があるのをご存知ですか?

案外、ご存じない方も多いようです。

この肛門嚢には、自身の匂い(フェロモン)の分泌液が貯留され、排便時に便中に少量排液されて自分の縄張りをアピールするのに役立っています。

この排出口が肛門のすぐ内側にありますので、細菌が入り込んだり、糞便が排出口を詰まらせたりすると分泌液がスムーズに排出されなくなり、肛門嚢が腫脹し始めます。

小型犬や軟便・下痢便が続く犬ほど肛門嚢が詰まりやすいとされます。
そして、非常に痒みが生じることとなります。

犬が尻尾を追いかけてぐるぐる回ったり、お尻を床にこすりつけてズリズリとおかしな動きをし始めたら、肛門嚢がたまっていると思って下さい。

問題は,そんな状態に気づかれずにいますとお尻の皮膚はデリケートなので、肛門嚢が破れて皮膚に穴が開いてしまいます。
この時、出血したり膿が出たりすることも多いです。

この状態を肛門嚢炎といいます。




次にご紹介するのは、肛門嚢が炎症を起こし破裂した2件です。

患部からの出血とお尻の疼痛が酷くて、お尻周辺を舐めるということで来院されました。

患部を十分に洗浄・消毒し、抗生剤の投薬をします。






下の写真は先の症例(直上の写真の犬)で回復したところです。

開口部はきれいに治っています。

定期的に肛門嚢を絞ることでこの肛門嚢炎は防ぐことができます。

一度きれいに治っても数カ月おきに再発を繰り返すケースも多いです。

そうなりますと外科手術で肛門嚢を摘出する場合もあります。

できれば手術は避けたいところです。

飼い主様ご自身で肛門嚢を上手に絞ることのできる方は非常に少ないです。

当院でも定期的に肛門嚢しぼりを実施しておりますので、よろしかったらご利用下さい。


投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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