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皮膚の疾患/犬

2013年7月 9日 火曜日

犬の疥癬症(ヒゼンダニ症)

東海地方も梅雨明け宣言が出されましたね。

この蒸し暑い日々が続く中、外来の患者様の中で最も多いのが皮膚病です。

今回、ご紹介させて頂きますのが犬の疥癬症(ヒゼンダニ症)です。



マルチーズのメロディちゃんは、耳の縁を痒がり、瘡蓋(かさぶた)がたくさんできているとのことで来院されました。



耳介部の外側面が前面にわたって瘡蓋が生じており、慢性的に足で掻き続けているようで、浸出液も出ています。



耳介部の激烈な痒みと痂皮形成から疥癬(ヒゼンダニ)を疑い、早速耳介部の皮膚をメスの刃で掻破して顕微鏡検査をしました。

しっかり、疥癬が見つかりました。



強拡大像です。



卵も多数認められます。



この疥癬は、イヌセンコウヒゼンダニという外部寄生虫で季節を問わずに発症して、激しい痒みを特徴とします。

ヒゼンダニ類は卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニと各発育期を持ち、宿主の体上で一生涯を過ごします。

宿主の皮膚内にトンネルを掘り、産卵もそこで行います。

孵化したダニは新たにトンネルを掘り、一世代は2~3週間と言われます。

犬での発生部位は、腹部・胸部・四肢の腹側面で脱毛、赤い丘疹に始まり、病変が進行すると出血・出血性痂皮、表皮剥離加えて二次的な細菌感染を起こします。

犬で皮膚掻破検査をして、疥癬が見つかればラッキーです。

疥癬が見つからない場合もあり、そうなると他の皮膚疾患との鑑別が必要になります。


猫でもこの疥癬症はあります。

しかし、猫の場合は耳介の内側縁から病変が始まり、顔面、頚部、四肢へと順次広がって行き、犬よりもわかりやすいです。




治療法は、イベルメクチンの皮下注射を1~2週間間隔で数回実施して治します。

コリーやシェルティのように中毒性を持つ犬種では、セラメクチン(®レボルーション)を1か月間隔で2回、頚部皮膚に滴下します。


投薬、1週間後のメロディちゃんです。



耳介の内外側共に綺麗に治っています。





このイヌセンコウヒゼンダニの困ったところは、ヒトにも感染します。

好発部位は、犬との接触する部位に多く、ヒトの前腕部や体幹前面に紅斑性小丘疹ができ、高度の掻痒感を生じます。



今回のメロディちゃんは、まだ感染初期のステージであったため、短期間で順調に回復しています。

メロディちゃん、良かったね!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年6月 1日 土曜日

ウェルシュ・コーギーのハエウジ症

東海圏も梅雨に入りました。

蒸し暑い日々がこれから続きますが、体調を崩す動物たちが多いのもこの時期の特徴です。


本日、ご紹介いたしますのは犬のハエウジ症です。

ウェルシュ・コーギーのアイン君(12歳、去勢済)は胸とお尻周りを痒がるとのことで来院されました。

飼い主様が痒がる幹部から、ウジがいたと申告がありました。

暑くなってきた頃だから、ついでにサマーカットをして欲しいとの飼主様からの要望もあり、またハエウジがたかっている患部を確認する上でもバリカンカットをすることになりました。





ウジがいるとの患部については、カットをしたところ下の写真の通りでした。

黄色丸の部分が炎症を起こしています。



頸背部の炎症部です。



腰背部の炎症部です。



ニクバエなどのハエが患部(主に外傷や褥瘡等を起こしている皮膚)に産卵し、孵化したウジが傷の表面を移動して傷口からの滲出液や死滅した皮膚細胞を食べます。

ウジは場合によっては、天然孔(眼、鼻、口、肛門など)にももぐりこんでしまう事もあります。

当然、ウジが湧いてる部位は痒み、疼痛を伴い、犬は患部を気にして舐める、引掻くを繰り返し二次的に細菌感染を引き起こします。


今回のアイン君は1週間ほど下痢をしており、肛門周辺が不衛生な状況であったそうです。

恐らくその時にハエに卵を産み付けられたと考えられます。

バリカンで剃毛中、何匹かのウジが見つかりました。



幸いにして、ウジは少数寄生で皮膚も大きなダメージを受けていませんでした。

アイン君の皮膚炎治療のため、患部を消毒し、駆虫剤(フィプロニル)、抗生剤を処方しました。


ハエウジ症の治療の基本は、患部を綺麗に剃毛し、消毒、ウジを確実に用手で摘出することです。

加えて、皮膚の炎症の治療、飼育環境を衛生的にすることです。








ウジの重度寄生の場合、全てのウジを鉗子などで除去することは非常に手間がかかります。

長毛種であるほどに、ウジの寄生は見落としがちです。

特に今のような梅雨の時期は、飼主の皆さま要注意です。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年1月14日 月曜日

犬のアカラス(その2)

犬のアカラス(毛包虫)は以前、ご紹介させて頂きました。

なぜアカラスの感染が起きるのか、どんな症状で治療法はどうするか等、詳細はこちらをご覧ください。


ウェルシュ・コーギーの そらちゃんは、左まぶたの上が酷く痒くなり初め、脱毛が著しいとのことで来院されました。



黄色丸で囲んだ部分が脱毛して痒い部分です。

患部の発赤がお分かり頂けると思います。



アカラスは顔面から前肢によく患部が認められますので、早速皮膚をメスの刃でスクラッチして顕微鏡で検査しました。

その結果、アカラスがしっかり多数寄生しているのが確認されました。(下写真の黄色矢印)



拡大すると芋虫のような感じです。





そらちゃんは5歳3か月になり、立派な成犬です。

生後数か月から発症する幼年性アカラスであれば、早ければ数か月で消失してしまいますが、成年性となると終生にわたってこのアカラスと付き合っていかなければいけない場合も多いです。

この成犬性アカラスは多くが基礎疾患(腫瘍、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症等)を持っていることが多いとされます。

そらちゃんは、この数年生理が来ていないそうです。

体質的な問題(産科系疾患など)も若干絡んでいそうです。

今回、ドラメクチンという駆虫薬を注射して経過をみました。

加えてそらちゃんは、まぶたを後肢で引掻いたときに角膜を傷つけてしまい、その治療も必要となりました。

下写真は、2週間後のそらちゃんです。





皮膚検査でもアカラスは陰性で、痒みもなく落ち着いたそうです。

被毛が薄かったまぶたも少しづつ発毛が認められます(黄色矢印)。



エリザベスカラーをつけているのは、角膜を保護するためです。

せっかく角膜の受傷が回復の兆しをみせても、自ら引掻いて治療をやり直すケースも多いので本人はストレスになるかもしれませんが、エリザベスカラー生活をお願いしています。

今後、そらちゃんの基礎疾患の有無を確認して、アカラスとの対応を考慮していきたいと考えています。





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年7月30日 月曜日

バーニーズマウンテンドッグのハイグローマ


若い大型犬種によく見られるのが、今回ご紹介するハイグローマ(滑液嚢腫、肘腫)です。

バーニーズマウンテンンドッグの小雪ちゃんはもうすぐ7か月齢になる女の子です。

性格も非常におとなしく優等生的なワンコです。



小雪ちゃんは肘に水が溜まって来院されました。

このハイグローマという病気は、先に記したとおり若年齢の大型犬に認められます。

体重の重い大型犬がずっと同じ姿勢でいますと、肘に荷重がかかり肘部にタコ(胼胝)ができることがあります。

このタコができない場合は、肘の後ろに水が溜まり腫れることがあります。

これをハイグローマと呼びます。またの名を滑液嚢腫、肘腫とも言います。

肘関節にある滑液嚢という袋に炎症が起こり、漿液が貯留します。



黄色い丸の中が小雪ちゃんの肘部で漿液の貯留により腫れているのがお分かり頂けると思います。

発生の原因は、硬い床の上で横になったりしますと肘が繰り返し慢性的刺激を受けることとなり、肘部の炎症が起こることによります。

放置されますと、どんどん漿液が溜まってしまい肘部の皮膚が裂けたり、潰瘍化し、さらに肘の骨まで病変が進行します。

早速、患部を穿刺して無菌的に漿液を吸引します。



吸引しますと赤色粘性の低い炎症性漿液が15mlほど溜まっていました。







小雪ちゃんが可愛かったので、ハイグローマとは直接関係ないスナップショットを載せてしまいました。

治療方法としては、まずは生活環境の改善を優先して下さい。

床面が硬いと肘が当たってこの病気になりやすいため、マットやカーペットを敷いて床を柔らかくするように配慮して下さい。

軽度の炎症であれば、消炎剤や抗生剤等の内科的治療に反応します。

ハイグローマが非常に大きくなったら、外科的な切除を必要とする場合もあります。

病変部が骨突起の直上にあり、直接に切断切除すると創が広がる傾向があるため、うまく皮膚形成術を考慮する必要があります。



ハイグローマって、痛々しそうと思われた方は
 

 
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年7月11日 水曜日

コリーノーズ

日光を過剰に浴びることで、紫外線に鼻周辺の皮膚が炎症反応を起こしてしまう疾病があります。

特に鼻周辺にメラニン色素の少ない犬種に発症しやすく、その代表格がコリーやシェルティで称してコリーノーズと呼びます。

症状としては、鼻鏡(鼻の正面)から鼻梁(鼻から額の正中線にかけての部分)に局所的に脱毛が始まり、発赤、斑点、痒み、膿疱(のうほう)、糜爛(びらん)と症状が悪化していきます。

今回、来院されたシェルティ君は幼犬期から鼻にコリーノーズを認めるケースで、投薬して一旦快方に向かっても休薬すれば、また再発を繰り返しています。




今回の鼻の症状はそんなに酷くはありませんが、黄色の丸で囲んである病変部をご覧ください。

鼻の背面部の色素脱落、痂皮形成、脱毛が目立ちます。





この病気の原因として、紫外線に対する免疫反応が挙げられます。

特に屋外で飼育されている場合、直射日光を避けて下さい。

コリーノーズが高度に進行しますと鼻の軟骨部が変形してしまう場合もあります。

また病状が進行して日光性角化症を経て扁平上皮癌という皮膚癌に移行するケースもあります。

以前はこの鼻周辺部に入れ墨を施して紫外線を防ぐことで、コリーノーズを予防していたという話があります。



現状では、紫外線に対する免疫反応を抑えるためにステロイド剤を内服して頂き、治療を進めています。

加えて長い時間の散歩は控えていただき、犬舎は屋内か日陰に移動して下さい。

紫外線による暴露が最小限に抑えられれば、症状もある程度までは落ち着きます。




紫外線で鼻が崩れてしまう病気があることに
 

驚かれた方はこちらをクリックupwardright宜しくお願い致します。
 

投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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