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犬の疾病

犬の異物誤飲(その10 魚骨)

犬の異物誤飲シリーズも10症例目になります。

毎回、腹部切開して異物を摘出する場面を展開して参りましたが、今回はちょっと違います。


きららちゃん(6歳、避妊済)は、3日前から体が熱っぽいことと、声がかすれた感じがするとのことで来院されました。

確かに喉の周辺が少し腫れている感じがあり、口腔内を診ますと喉が赤くなっています。

口喉炎かと思い、消炎剤・抗生剤を処方して経過観察することとしました。


その3日後、きららちゃんの喉がとんがってきたとのことで再診です。





下写真黄色丸の箇所が皮膚を下から突き上げているかの如く突出しています。



超音波検査を実施しました。

下写真の黄色矢印の部分が異物を表しています。

異物周辺は特に血管の走行も、また出血の形跡も認められません。



患部を注射針で切開してみることとしました。

きららちゃんは非常に性格がおとなしく協力的なので、局所麻酔のみで対応できました。



患部の切開を進めていきますと、鋭い突起物(黄色丸)が現れました。



おそらく何か異物を食べて、その異物が食道壁を穿孔して飛び出してきたのではないかと推察されます。

その突起物を鉗子で把持して引き抜くこととしました。



下写真の黄色矢印が摘出した硬い棘のようなものです。



プラスチックの破片の様にもみえますが、飼主様に確認したところ、どうやら鯖の骨ではないかとのことでした。



患部からの出血もなく、スムーズに処置は完了しました。

皮膚縫合したところです。





先端が鋭利な異物を誤飲した場合、食道に刺さってしまう場合はあるかと思いますが、嚥下と共に餌が上からどんどん流れてきて、異物も胃に落ちていくことが殆どでしょう。

今回の様に、異物が食道壁を突き破って皮下に突出する症例は初めてです。

子どもの頃、魚の骨が喉に刺さって辛い思いをしたことがあります。

きららちゃんは、よほど我慢強い子ですね。

局所麻酔だけでよく耐えてくれました。

考えようによっては、胃や腸にこの骨が流れ込んで消化管を穿孔したら、腹膜炎を起こして敗血症になっていたかもしれません。

外科手術をすることなく、シンプルに摘出できたのは幸いと言えるでしょう。

くれぐれも、魚の骨には気を付けて下さい!



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投稿者 院長 | 記事URL

犬の陥頓包茎



雄の犬でペニスが飛び出して戻らなくなってしまった!と来院されるケースがあります。

このペニスが戻らない状態とは何かと申しますと、包皮腔から突出した陰茎亀頭部が何らかの原因で包皮腔内へ戻れなくなっている状態を指します。

この状態を称して陥頓包茎(かんとんほうけい)といいます。

原因は、多くが包皮口の被毛が陰茎に絡まって発症します。

問題は巻き込まれた皮膚の圧迫をペニスが受け、血行障害に至り浮腫が生じます。

浮腫が進行すると、さらに包皮内にペニスは戻らなくなってしまいます。


今回ご紹介しますのは、チワワのマロン君(4歳、雄)です。

下写真の通り、陥頓包茎になっています(黄色丸)。



陥頓包茎に飼主様が気づかれてまだ半日くらいしかたっていませんが、ペニスが若干浮腫を起こしています。

今回の写真はピントがあまり合っていません。申し訳ありません。



浮腫の程度がまだ軽度であれば、ベビーオイル等で潤滑よくしておいて、包皮に戻すことは容易にできます。

マロン君の陥頓包茎はなってから、短時間でしたので簡単に戻ってくれました。

具体的な治療法は以前、デグーマウスの陥頓包茎についての当院ブログに詳細を載せました。

興味のある方はこちらをクリックして下さい。

重度の陥頓包茎の場合は、まずは浮腫を改善するため高濃度の砂糖水(20%以上)を患部に漬けて、浸透圧差を利用してペニスの浮腫を取ります。

冷湿布を患部にあて、浮腫を軽減する方法もあります。

以上の方法でも、ダメな場合は包皮をメスで切開して陰茎を戻します。

長時間にわたって陥頓包茎の状態が続きますとペニスが壊死を起こすこともあります。

何度もペニスが陥頓包茎になってしまう場合は、包皮口の被毛が長すぎることもありますので短くカットされた方がいいと思います。

ペニスが突出して戻らないと気づかれましたら、至急最寄りの動物病院で整復して頂くようお願い致します。





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投稿者 院長 | 記事URL

トイプードルの橈尺骨骨折(その2)

トイ種の前腕部骨折(橈尺骨骨折)は日常的に起こりがちな骨折です。

以前、トイプードルの橈尺骨骨折を載せました。

その後も、橈尺骨骨折は途切れることなく起こっています。

手術手技の難しさもあり、受傷年齢が若いこともあり、また骨癒合不全に陥りやすい部位であることから、完治まで時間がかかる骨折であることを認識して頂きたく思います。

飼い主様への注意を喚起するためにも、今後もこの骨折については症例報告を続けていきたいと考えています。



トイプードルのロック君(7か月齢、雄、体重2.6kg)はダイニングテーブルから飛び降りて、前足がブラブラしているとのことで来院されました。



患部をレントゲン撮影しました。





黄色丸で囲んだ部位が骨折部です。

この状態は、いわゆる若木骨折と称される骨折形態をとっています。

若木骨折については、以前オカメインコの若木骨折でご紹介させて頂きましたので、そちらをご参照ください。

体重がある程度あり、骨折ラインも橈骨遠位端でもまだ中央寄りということで、プレートによる内固定を実施することとしました。

しっかり内固定するためにも、上3穴・下3穴の6穴タイプのプレートをインプラントします。



下写真にありますように骨折部が腫れあがって、内出血しています。



骨折部は骨皮質・骨髄が破たんしていますので、それなりに出血はあります。



りトラクターで骨折部を確認します。

骨折部は若干、斜骨折になっているようです。



骨折部をプレート用骨保持鉗子で固定します。



直径1.5㎜の骨皮質スクリューを使用します。

直径1.1㎜のドリルビットでしっかり下穴を作ります。

この後、ねじ山を切るため(タップ)に直径1.5㎜のタッピングをします。





スクリューの穴ができた所で、1か所ずつスクリューを締めていきます。



6本のスクリューでプレートの固定が完了しました。



後は筋肉、皮下組織を縫合しました。



最後に皮膚縫合で終了です。



レントゲン撮影を行い、内固定の最終チェックです。



しばらくは、スプリントで患肢を保護する生活を送って頂くことになります。



橈骨骨折はある程度までは、飼主様の注意で防ぐことは可能です。

一旦、橈骨骨折しますと骨癒合まで時間はかかり、ワンちゃんはもとより飼い主様も介護に気を遣わなくてはなりません。

もし、癒合不全に陥れば、完治までさらに時間を要します。



手術の模様がリアルすぎるとのご指摘を受けることもあります。

しかし、痛い思いをするのは皆様が飼われているワンちゃんであることを忘れないでください。

そして、いくら上手な文体で飼主様の注意を引こうとしても限界はあります。

そんな中、私個人としては血が出ていたり、患部が露出していたりしても、リアルな写真であるほどに飼主様の意識改革につながるなら良しと考えてます。

ロック君、術後はなるべくおとなしく生活していてくださいね!




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投稿者 院長 | 記事URL

ポメラニアンの橈骨遠位端骨折の外副子固定について


本日のテーマは前腕骨の橈骨が骨折した場合、スプリントと言われる外副子で骨折をしっかり治癒させることが出来るかというものです。

患者様は隣のペットショップのポメラニアン君です。

成体販売の仔犬なのでまだ名前はありません。

ポメ君と呼ばせて頂きます。

ポメ君はまだ生後1.5か月足らずのちびっ子です。



前足をくじいて、びっこを引いているとのことでの来院です。

疼痛が酷いようで泣き叫んでいます。

早速、レントゲンを撮ってみました。





上写真の黄色丸で囲んだ箇所が骨折しています。

橈骨遠位端骨折です。

小型犬種の前腕骨骨折の中でも良く発生する骨折パターンです。

手術が失敗すると骨癒合不全を起こす、難易度の高い骨折と言えます。


以前、トイプードル(生後1歳)の橈骨遠位端骨折をプレート内固定法で治療しました。

その経緯を興味ある方は、こちらをクリックして下さい。

また別件でポメラニアン(生後2.5歳)の同じく橈骨遠位端骨折を創外固定法で治療しました。

その経緯はこちらをクリックして下さい。


上記の2件については、共に生後1年以上経過した大人の犬です。

今回は、まだ生後1.5か月齢の仔犬です。

橈骨の太さは1.2㎜足らずです。

しかも骨自体は強度もなく、ウェハスのごとく脆弱です。

このようなケース事例では、私はギプス固定かスプリント固定で肘からつま先までを外固定して対応するようにしています。

生後数か月は非常に骨成長が著しく、内固定法や創外固定をして患部をがっちり固めるよりも、骨折部位を外固定で包み込むように持って行った方が綺麗な骨癒合を導きます。

下写真はこのポメ君にスプリント固定(黄色矢印)を施したものです。



スプリントとは、プラスチックで肘から下が入るように成型されたもので、粘着テープを使用して骨折患部を外固定します。

勿論、ポメ君からすれば重いし、肘から下は思うに任せて稼働できないし、迷惑千万といったところでしょう。

スプリント固定をした当日から、ポメ君はスプリント破壊に情熱を傾け始めました。

最低、1か月の装着は必要と思いましたが、実際1か月経過するまでにスプリントの再装着を5.6回ほどさせて頂きました。



色々ありましたが、本日、スプリント装着からちょうど1か月経過しました。

ポメ君も邪魔なスプリントと1か月格闘している間に、体は大きくなりました。

このスプリントとお別れできるか否かをレントゲンで判定します。

スプリントを装着したままでレントゲン撮影しました。





上写真の黄色丸は1か月前に骨折していた橈骨遠位端が仮骨が形成され、若干こぶのようになっていますが、いい感じで癒合しています。

念のため、あと1週間ほどはポメ君にまだスプリントを我慢してもらい、その後は外す予定です。

小さな仔犬の骨折は管理が非常に大変です。

しかし、スプリント等の外副子で固定がきちんとできていれば成長が早い分、綺麗に治ります。

ただ高齢犬になるほど、外副子固定での治療は時間がかかるし患者のストレスも大きいと言えます。

ポメ君、早く骨がくっついてよかったね!



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投稿者 院長 | 記事URL

犬の肛門嚢破裂(肛門嚢炎)


犬の肛門を正面にとらえて時計方向で、4時と8時方向に肛門嚢という袋が存在します。

この部位は肛門腺臭腺などと呼ばれています。

肛門腺は分泌液を分泌します。

この分泌液はかなり匂いがきつく、ジュータンや畳にこの分泌液をこすり付けられると匂いを取るのに苦労します。

今回はこの肛門腺が炎症を起こし、肛門嚢が破裂してしまった症例です。



ミックス犬のメメちゃん(6歳、雌)はお尻から血が出ているとのことで来院されました。



下写真黄色丸の部分から血膿が出ています。



見るからに痛々しい状態です。

メメちゃんもお尻を気にして、患部を舐めようとしたり床にお尻をこすり付けてます。

破裂した肛門嚢は汚臭を放ち、炎症の進行を物語ってます。


まずは肛門嚢を絞って、おそらく貯留しているであろう反対側の分泌物を出します。

汚泥状の異臭を放つ分泌液と出血が認められます。



早速、破裂した肛門嚢を洗浄消毒します。







しっかり洗浄したところで、患部は縫合して閉じたりせず、解放創のまま自然に癒合するのを待ちます。




初期のステージであれば、問題なく破裂した肛門腺は再生します。

その間は抗生剤をしっかり内服してもらいます。



しかし、しっかり治療しておかないと何度もこの後、再発を繰り返してしまいます。

状況によっては、外科的に摘出する場合があります。

以前に外科的に摘出した症例を載せましたので、興味のある方は こちらをクリック して下さい。


肛門腺から続く導管が肛門括約筋の左右につながって肛門内側に開口しています。

大型犬はこの導管が太く、排便時に便と共に排出されます。

しかしながら、導管の細い小型犬では簡単に排出することは不可能です。

加えて、ストレス・加齢・肥満などの要因が分泌液の性状をより粘度の高いものにし、肛門嚢に過剰に貯留していきます。

この状態が長引くと細菌が導管から、肛門嚢内に侵入して肛門嚢炎を引き起こします。

犬自身からすれば、肛門周囲が非常にむず痒くなるため、何とかして患部をこすったり、舐めたりします。

結果、今回のメメちゃんのように肛門嚢が破裂して皮膚に穴が開いてしまうのです。



重要なポイントは、日常の肛門腺のチェックです。

月に一回は肛門腺を絞って貯留した分泌液を出すようにして下さい。

飼い主様自らできると良いのですが、難しい場合は病院で絞ってもらうようにして下さい。



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