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スタッフブログ

2017年5月23日 火曜日

新米獣医師カーリーのつぶやき-part80-~カルシウム~

こんにちは、獣医師の苅谷です。

ここ最近急激に暖かくなり、下手をするとそこそこ暑くなってきましたね。

私たちの体感温度で暑いと感じるということは暑さにイヌやウサギといった暑さに弱い動物は熱中症など命に関わる状況に陥ることがありますので早めの暑さ対策が必要ですね。





今回はカルシウムについてお話します。

カルシウムの働きと言えばまず骨に関わっていると一番に思いつくと思います。

確かにカルシウムは骨に一番貯蔵されていますが、他にも実は重要な役割があります。

まず細胞内でのカルシウムについてです。

細胞内でのカルシウムはいろいろな細胞活動の調整をしています。

まずホルモンやサイトカイン(免疫細胞における情報の伝達物質)、神経伝達物質、消化酵素などといったものを分泌させるシグナルとしての働きがあります。

ホルモンやサイトカインといった上記に挙げられたものは生物が一定の安定した状態ー恒常性を維持するのに関わっています。

また細胞の中ではいろいろな化学反応が起こっており、カルシウムが関係しています。

カルシウムは化学反応に関わる酵素活性を調節しており、これにより細胞の増殖や分化、機能の維持に関わっています。


次に血液中のカルシウムについてです。

血液の中のカルシウムは神経や筋肉の興奮の調整をします。

またカルシウムは出血した時に血を止める止血にも関わり、血液凝固因子を活性化させます。

さらに血液のイオンバランスを整えたり、浸透圧を整えたりします。 

このようにカルシウムは体の中で重要な役割を果たしています。




さてこのカルシウムは体の中でどのようにしてバランスをとっているのかというと・・・

3つのホルモンによって調節されています。

1つ目はパラソルモンと呼ばれる上皮小体ホルモン(副甲状腺ホルモン)です。

このホルモンは血液中のカルシウムの濃度が下がってきた場合に働き始め、血中のカルシウムの濃度を上げます。

血中のカルシウムの濃度を上げるために骨からカルシウムを利用したり、後述する活性型ビタミンDの合成を促し、腸でのカルシウムの吸収を促したり、腎臓でカルシウムの再吸収に影響を及ぼす他のミネラル(マグネシウムやリン)を制御したりします。

2つ目は活性型ビタミンDです。

これはビタミンDがパラソルモンや紫外線の影響を受け、体の中で働くように活性型ビタミンDになり、腸でのカルシウムの吸収を促したり、腎臓での再吸収の制御を行っています。

3つ目はカルシトニンと呼ばれる甲状腺からでるホルモンの一つです。

これは上記の2つと異なり、血中濃度が上がりすぎた場合に働き始めます。

そのため、骨からのカルシウムの利用を抑制したり、腎臓からのカルシウムの再吸収を抑え、過剰分を尿中に放出します。

以上のように体の中ではホルモンによってカルシウムの濃度をコントロールしていますが、体内のカルシウムが不足してる場合は外部から摂取しなければなりません。

ただし、むやみやたらにカルシウムだけ、ビタミンDを摂ればよいというわけではありません。

カルシウム自体は腸からの吸収はあまりよくなく、ホルモンで調節しているわけなのですが、カルシウムと結合して結晶化させるシュウ酸を多く含む食べ物や過剰なリンを含む食べ物は腸からの吸収を阻害します。

また、ビタミンDは脂溶性のビタミンで過剰に摂取すると体に蓄積しやすく、体にも不具合が出てしまうこともあります。

そのため必要量を守って摂取することが重要なってきます。

カルシウムが不足してくるとくる病や内分泌の問題が現れることもあります。

メインのフードをあまり食べず、おやつなどがメインになってしまうと起こりうることですので注意しましょう。

今日は以上で終わります。

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投稿者 ブログ担当スタッフ

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