鳥の疾病
セキセイインコの義足
こんにちは 院長の伊藤です。
鳥は、基本2本足で体重を荷重して木の枝に停まります。
1本足でだけでは全体重を荷重することは厳しいです。
従って、何らかの理由で片足が機能障害に陥った場合、生存の可能性は極めて低くなります。
今回、片足を受傷して機能障害になったセキセイインコの症例報告です。
セキセイインコのピヨ君(8歳、雄)は鳥かごに入った状態で、外に置かれていた時にカラスに襲われ、片足から激しい出血があるとのことで来院されました。

下写真の黄色矢印は出血が甚だしい患部を圧迫止血しているところです。
赤丸は出血で汚染された部位です。

速やかにガス麻酔を実施します。

出血量が多く全身状態も衰弱しているため、ピヨ君の麻酔の効きは早いです。

下写真黄色丸は圧迫止血を解除した受傷患部です。
ご覧のとおり、足の指が殆ど千切れかけているのがお分かり頂けると思います。
改めてカラスの攻撃力を再認識させられます。

患部を拡大した写真です。

背側面から見た患部です。
黄色矢印はほぼ離断しかけている足根関節です。
赤矢印は出血及び循環不全でうっ血状態により腫れあがっている下腿部です。

関節は既に砕けており、動脈も離断し神経も分断されています。
この足根関節以下の部位を復元することは、現実的に困難です。

この段階で飼主様のご了解を頂き、断脚をすることとしました。
一般に鳥の断脚は、場合のよっては安楽死を選択しなければならない状況になります。

この部位であれば人工的ないわゆる義足を作成して、ピヨ君の体重を支えられるかもしれないと算段しました。

義足が失敗に終われば、ピヨ君は生存していくのは厳しい局面に立たされます。
下写真は完全に断脚したところです。

離断した患部をトリミングします。

バイポーラ(電気メス)で止血します。

この下腿部に義足を上手く装着します。

患部に抗生剤軟膏を塗布します。


加えて患部を保護するために紙ガーゼで巻きます。

まず考えたのは義足の素材として軽量で加工しやすいものとしてストローを選択しました。
足の直径に合うサイズのストローを用意して、患部をストローに挿入して行きます。

健常な右脚に合わせてストローをカットします。

丁度、足首の部分にあたるところで折りこみを入れます。


麻酔から覚醒始めたピヨ君です。



心配なのはこの義足で起立できるかということです。

ピヨ君はまだ自身の脚が断脚されたとういうことを自覚できずにいます。
義足に対する違和感も感じていると思われます。
しっかり立つことが出来なくて倒れ込んでしまいます。

その後、何種類もの義足を試作しました。
最終型が下写真の義足です。
手術の翌日のピヨ君です。
起立出来ています。


歩行もぎこちなさはあるものの、しっかり起立は出来てますし、採食できます。
今後、止まり木にとまることは出来ないと思います。
平床での生活に甘んじなければならないのは可哀そうですが、致し方ありません。
2日の入院の後、ピヨ君は退院しました。

あとはこの義足の耐久性です。
術後10日目のピヨ君です。

飼い主様によれば、走ることも出来るようになったそうです。
ピヨ君自身はこの義足を突っついたりして、表面のガムテープを剥がしたりはしますが、義足を破壊するほどには至ってません。
幸い義足が足首から外れることもないようです。
歩く様は、ペンギンのような感がありますが、何とか実用性は大丈夫みたいです。

オリジナルの義足ですが、今後もこのような断脚の症例には適応できると思われます。

ピヨ君、お疲れ様でした!
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鳥は、基本2本足で体重を荷重して木の枝に停まります。
1本足でだけでは全体重を荷重することは厳しいです。
従って、何らかの理由で片足が機能障害に陥った場合、生存の可能性は極めて低くなります。
今回、片足を受傷して機能障害になったセキセイインコの症例報告です。
セキセイインコのピヨ君(8歳、雄)は鳥かごに入った状態で、外に置かれていた時にカラスに襲われ、片足から激しい出血があるとのことで来院されました。

下写真の黄色矢印は出血が甚だしい患部を圧迫止血しているところです。
赤丸は出血で汚染された部位です。

速やかにガス麻酔を実施します。

出血量が多く全身状態も衰弱しているため、ピヨ君の麻酔の効きは早いです。

下写真黄色丸は圧迫止血を解除した受傷患部です。
ご覧のとおり、足の指が殆ど千切れかけているのがお分かり頂けると思います。
改めてカラスの攻撃力を再認識させられます。

患部を拡大した写真です。

背側面から見た患部です。
黄色矢印はほぼ離断しかけている足根関節です。
赤矢印は出血及び循環不全でうっ血状態により腫れあがっている下腿部です。

関節は既に砕けており、動脈も離断し神経も分断されています。
この足根関節以下の部位を復元することは、現実的に困難です。

この段階で飼主様のご了解を頂き、断脚をすることとしました。
一般に鳥の断脚は、場合のよっては安楽死を選択しなければならない状況になります。

この部位であれば人工的ないわゆる義足を作成して、ピヨ君の体重を支えられるかもしれないと算段しました。

義足が失敗に終われば、ピヨ君は生存していくのは厳しい局面に立たされます。
下写真は完全に断脚したところです。

離断した患部をトリミングします。

バイポーラ(電気メス)で止血します。

この下腿部に義足を上手く装着します。

患部に抗生剤軟膏を塗布します。


加えて患部を保護するために紙ガーゼで巻きます。

まず考えたのは義足の素材として軽量で加工しやすいものとしてストローを選択しました。
足の直径に合うサイズのストローを用意して、患部をストローに挿入して行きます。

健常な右脚に合わせてストローをカットします。

丁度、足首の部分にあたるところで折りこみを入れます。


麻酔から覚醒始めたピヨ君です。



心配なのはこの義足で起立できるかということです。

ピヨ君はまだ自身の脚が断脚されたとういうことを自覚できずにいます。
義足に対する違和感も感じていると思われます。
しっかり立つことが出来なくて倒れ込んでしまいます。

その後、何種類もの義足を試作しました。
最終型が下写真の義足です。
手術の翌日のピヨ君です。
起立出来ています。


歩行もぎこちなさはあるものの、しっかり起立は出来てますし、採食できます。
今後、止まり木にとまることは出来ないと思います。
平床での生活に甘んじなければならないのは可哀そうですが、致し方ありません。
2日の入院の後、ピヨ君は退院しました。

あとはこの義足の耐久性です。
術後10日目のピヨ君です。

飼い主様によれば、走ることも出来るようになったそうです。
ピヨ君自身はこの義足を突っついたりして、表面のガムテープを剥がしたりはしますが、義足を破壊するほどには至ってません。
幸い義足が足首から外れることもないようです。
歩く様は、ペンギンのような感がありますが、何とか実用性は大丈夫みたいです。

オリジナルの義足ですが、今後もこのような断脚の症例には適応できると思われます。

ピヨ君、お疲れ様でした!
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投稿者 院長