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スタッフブログ

2016年9月 6日 火曜日

新米獣医師カーリーのつぶやき-part73~皮膚痒み①~-

こんにちは、獣医師の苅谷です。

この前、野球観戦に行ってきたのですが、最後の展開でどっと疲れましたね。

やはり終わり方はとても重要と感じた一日でした。





今回は皮膚の痒みについてお話します。

皮膚の痒みは皮膚糸状菌症や膿皮症といった皮膚感染症やアレルギーやアトピー性皮膚炎などによって引き起こります。

皮膚感染症は二つに分けられ、外部から感染するタイプと皮膚に常在し、何らかの影響によって感染するタイプに分けられます。

外部から感染するタイプには皮膚糸状菌症や疥癬が挙げられます。

皮膚糸状菌症はズーノーシスと呼ばれるもので、この原因菌は人の場合だと白癬菌と呼ばれるものになります。

この皮膚糸状菌との接触で感染してしまうわけですが、健康な状態であれば、免疫で抑え込んでしまう場合があります。

身体に対してストレスや病気、薬の投薬による免疫力の低下に伴って発症または悪化します。

治療に関しては抗真菌薬の投与や免疫力の低下の原因を取り除くことになります。

予防としては糸状菌事態環境中に胞子が浮遊していることが多いので、感染している動物との接触を避ける、接触した場合はしっかりと手洗いをする、できるだけストレスフリーな生活を心がけることとなると思います。

次に疥癬ですが、これはノミ・マダニの予防の話であるような吸血するマダニとは異なる皮膚の角質を食べるヒゼンダニによって起こります。

主にこのヒゼンダニを持っている動物との接触(例えば野生のタヌキなど)によって感染します。

このヒゼンダニがヒトに悪さをするかといえば、悪さをします。

ただヒゼンダニの成体が宿主となる動物の皮膚から離れると数時間しか生き延びれなく、宿主となる動物ではなく他種の動物(例えば犬→人)の皮膚に移動した場合、移動先の皮膚では咬みついて虫刺され程度の症状が出ます。

こちらもやはり免疫力が落ちていると感染しやすくなります。

治療としては駆虫薬の投与により寄生虫を落とすことができます。





次に常在するものが何らかの影響で悪さをし、感染してしまうタイプについてお話します。

ここでは毛包虫やブドウ球菌、マラセチアといった微生物が関係してきます。

ここで挙げられた微生物は毛包虫であれば、生まれてきた時に母親から受け取ったり、ブドウ球菌やマラセチアといったものは環境中および皮膚に常在する微生物になります。

まず毛包虫症からです。

毛包虫は別名アカラスやニキビダニといった名前があり、私たち健康な皮膚の人でもほとんどの人の皮膚にも存在している微生物です。

健康な状態であれば特に悪さをしないのですが、若齢であれば何らかの原因で栄養状態が悪い時や高齢になってくると内分泌疾患、悪性腫瘍、薬剤の投薬により免疫力の低下により発症します。

若齢であれば栄養状態の悪くなる原因を取り除くことで自然に回復することがあります、一方高齢になって発症した場合、上記の原因を考慮して治療していくこととなります。

また毛包虫症が発症すると次にお話しするブドウ球菌によるひどい膿皮症も併発することも多いです。

ちなみに毛包虫は皮膚から離れるとすぐに死滅します。

また犬→人や人→犬など他種間の感染はありません。

余談ですが大抵の大人の皮膚には毛包虫は存在しているため、顕微鏡が使える環境があるのでしたらセロテープといったもので鼻当たりの皮脂をとり、見てみると実物が確認できることがあります。

次にブドウ球菌が関係する膿皮症についてお話します。

この膿皮症は舐めたり噛んだり傷ついたりして物理的な傷害を受け、皮膚の表面のバリアが破られて、通常健康な皮膚の状態であれば悪さをしなかったブドウ球菌などが悪さをし始めるものです。

犬における、特に高温多湿のこの夏の時期によく見かける皮膚の問題はこの膿皮症です。

皮膚のバリアが破られて内部に入ってくると白血球が退治しに動きますが、それでも手が追い付かない場合、痒みの悪循環が始まります。

こういった場合、抗菌薬の投与やシャンプーなどでケアしていくこととなります。

基本的に軽い膿皮症ーいわゆる皮膚の表層にのみの膿皮症であれば薬用のシャンプーを使用していきます。

一方、皮膚の深いところまで入ってしまった膿皮症に関しては抗菌薬を使います。

抗菌薬を使用するうえではやはり気を付けなければいけないことは耐性菌の問題です。

特にブドウ球菌は耐性を持ってしまって問題となっていることでも有名です。

耐性菌自体も問題ですが、たくさん存在する常在菌であるブドウ球菌が耐性をもってしまうことも問題です。

たくさん存在する常在菌が耐性を持つとその情報が他の細菌に伝わる可能性を高めます。

これによりかなり少数派の病原菌にこの情報が伝わってしまうと抗菌薬が無効になってしまい、治療の際には自身の免疫のみに依存しなければなくなってしまいます。

そのため抗菌薬は処方されたら問題がない限り、しっかりと服用する必要があります。






今回は以上で終わります。

次回マラセチア性皮膚炎からお話します。

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