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鳥の疾病

オカメインコの脛骨骨折のピンニング術(観血的アプローチ)

こんにちは 院長の伊藤です。


暑い日が続いています。
当院でも熱中症の犬やウサギが来院しています。
ペット達が快適に過ごせる飼育環境にご配慮下さい。



さて本日、ご紹介しますのはオカメインコの脛骨骨折例です。

鳥の骨は非常に脆弱で細いです。

そのため、一般的に鳥の骨折は部位にもよりますが、骨髄内ピンで整復固定することが多いです。


以前に同じくオカメインコの脛骨骨折の骨髄内ピン固定術をご紹介しました。

ただ先回は、骨折部を切皮しての観血的ピンニングでなく、指先の感覚での非観血的ピンニングの紹介でした。

今回は、骨折患部の観血的整復術になりますので、より一般的かつ臨床的といえるかもしれません。



オカメインコのキコちゃん(雌、1歳)は右脚がブラブラになり、骨折しているようだとのことで来院されました。



早速、レントゲン撮影を実施しました。

下写真黄色丸にあるように脛骨遠位端1/3位に骨折が認められます。





脛骨の骨折はギブスで外固定する方法もありますが、オカメインコ位の大きさの愛玩鳥においては骨髄内にピンを打ち込んで整復する方法を私は選択します。

早速、全身麻酔を実施します。



キコちゃんはご覧のとおり、起立不能で歩行もままならない状態です。



導入麻酔が完了したところで、維持麻酔に変えます。



下写真の黄色丸は骨折している部位で、すでに内出血が始まってます。



25G×11/2"という長さ38㎜の注射針を採用しました。

踝(くるぶし)の部位から注射針を打ち込んでいきます。



骨折部位に注射針を進めていきますが、横骨折で骨折部位が皮膚を介して整復が出来ている場合にはこのまま骨髄ピンニング固定を完了します。

しかし、今回は骨折端が変位していましたので非観血的に骨折端を整復できませんでした。



このようなケースでは、骨折部位にメスを入れて骨折端を観血的に露出します。

その上で、注射針を入れて確認します。

下写真黄色丸が遠位端骨髄内に打ち込んだ注射針です。



骨折部を目視して、骨折端同志を上手く合わせて整復をします。





骨折部が動揺しないように鉗子で固定します。



片手で骨折部を固定し、片手で注射針を少しづつ骨髄内に入れて進めていきます。





骨折部が動揺なく、固定されたのを確認した上でレントゲン撮影をします。

この段階で手術の成功・不成功が明らかになります。



仰臥のレントゲン像です。



黄色丸の骨折部に注射針が入っているのがお分かり頂けると思います。



側臥のレントゲン像です。



このアングルからも骨髄内に注射針が入っているのが確認できます。



骨髄内のピン固定確認が終了したところでピンをニッパーで離断します。



メスで切開した皮膚を縫合します。



骨折して内出血した部位が痛々しいですが、1週間から10日ほどで内出血も引くと思われます。



私の指と比較して、キコちゃんの脚の細さがお分かり頂けると思います。



骨髄内ピン固定法の欠点は、ピンを軸にして旋回運動(ローテーション)をしてしまう事です。

そのため、ピン固定後に外固定としてテーピング(サンドウィッチテーピング)を行います(下写真)。



キコちゃんが、患部を突っつかないようにフェルト地のエリザベスカラーを装着します。



麻酔覚醒1時間後のキコちゃんですが、自力で起立できるようになっています。







三日ほどの入院でキコちゃんは退院して頂きました。




術後1か月半のキコちゃんです。

キコちゃんは、歩行の障害もなく、日常生活元気に過ごされているそうです。

下写真黄色丸が打ち込んだピンの断端です。



この部位からピンを抜去します。



ピンを半ば牽引した状態(黄色丸)です。





ピンを完全に抜去しました。



ピン抜去後のレントゲン写真です。

骨折部は仮骨が形成されており、機能的には何ら健常時と変わらない状態に回復されました。





ピンを抜去して、すっきりしたように見えるキコちゃんです。

煩わしいエリザベスカラーからも開放されました。



犬や猫以上に骨折の手術後のストレスは鳥にとっては大きいです。

疼痛感やエリザベスカラーを含めた運動制限、視界不良などにより食欲不振や性格の変化を来す場合も多いです。

キコちゃん、お疲れ様でした。





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投稿者 院長

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