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フェレットの疾病

2014年8月 2日 土曜日

フェレットのシュウ酸カルシウム尿石症(その1.前哨戦)

こんにちは 院長の伊藤です。


今年の夏は、犬猫以外にも尿石症の症例が多いです。

普通は飲水量の減少する冬に多発するのですが。

その中で、フェレットのシュウ酸カルシウムによる尿石症をご紹介します。


フェレットのちゃちゃ丸君(2歳、去勢済、1.0㎏)は尿が出なくなり来院されました。

実は、このちゃちゃ丸君は今年の2月に排尿障害で来院され、ストルバイト尿石症の治療を受けて頂いた既往歴があります。

詳細はこちらをご覧く下さい。



さて、ちゃちゃ丸君ですが、以前のストラバイト結晶生成の理由は、尿素分解酵素産生微生物による尿路感染が尿をアルカリ化してミネラルの再吸収を阻害するような腎障害を起こし、尿石症に至ったというものです。


この時ちゃちゃ丸君には、抗生剤・止血剤・ストラバイト結晶を溶解する療法食の組み合わせで治療を展開しました。

この疾病治療の長期的展望としては、高品質な動物性蛋白質の食餌に変えることです。

その後、ちゃちゃ丸君は、猫用のストラバイト溶解食から維持食を食べて頂いたようですが、以前以上に排尿困難となり苦悶の表情です。



まずは尿道カテーテルを留置して、排尿を可能にしなくてはなりません。

そのために全身麻酔を施すことにしました。



下腹部は膀胱が尿で膨満しており、外貌からも膀胱が腫れている(下写真黄色丸)のがお分かり頂けると思います。



尿道カテーテルを挿入するためには、膀胱内の圧を取るために皮膚から針を穿刺して尿を吸引します。



ちゃちゃ丸君の蓄尿は40ml近くに及びました。

フェレットのペニスは犬同様、骨があり下写真の様になっています。



このペニスに尿道カテーテルを挿入します。

一般には尿道が狭いため、静脈留置用の留置針を使用します。

尿道内に砂粒が存在しており、カテーテルを進めるのは若干抵抗を感じました。



尿吸引後の膀胱内には尿は残ってませんので、生理食塩水をフラッシュします。

加えて、エコーで膀胱内の状態を観察します。





膀胱内には、たくさんの細かな砂粒が(下写真黄色矢印)、注入した生理食塩水の中をぐるぐる回っているのが確認されました。



生理食塩水が膀胱内に抵抗なくフラッシュ出来ているということは、尿道内は砂粒が閉塞を起こしてはいないということです。

一旦、カテーテルを抜去して、下腹部を圧迫して、膀胱内の生理食塩水の排出を試みました。




勢いよく圧迫排尿することが出来ました。





尿を採取して顕微鏡で確認したところ、下写真にありますように正八面体の結晶がたくさん見つかりました。



拡大写真です。黄色矢印が示しているのが正八面体のシュウ酸カルシウム結晶(二水和物)です。



半年ほど前の尿石症はストラバイト結晶でしたが、今回はシュウ酸カルシウム結晶とはどういうことなのか?

ストラバイトはアルカリ尿中に生成されます。

この半年の間、飼い主様は、尿を酸性に維持するストラバイト維持食を与えて頂いてたようです。

シュウ酸カルシウムは中性から酸性尿で産生されます。

加えて動物性高蛋白食や脂質のおやつを与えるとなり易いとも言われます。

フェレットは肉食獣なので、高蛋白食は必須ですから回避できません。

食生活が関与しているように思えますが、フェレットのストラバイト以外の尿石症は、原因が今のところ不明です。

遺伝的な代謝異常が存在する可能性はあるそうです。

生理食塩水を何回も膀胱内に注入して、スムーズに圧迫排尿を繰り返し、エコーで膀胱を確認しました。

膀胱内のシュウ酸カルシウム結晶はほぼ洗い出すことが出来たように思います(下写真)。



その後、ちゃちゃ丸君は自力で排尿できるようになりました。

排尿障害は何とかクリアできたと思ったのですが・・・・・・・・・・・・・・。

実は今回のこの処置は前哨戦に過ぎませんでした。

その後の我々の奮闘は、次回のブログにご期待下さい!



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投稿者 もねペットクリニック

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